2023年8月20日(日)。
「敷島神社」境内の「田子山富士」で『山仕舞い(お焚き上げ)』がありました。
「お焚き上げ」(=火祭り)は、都内や埼玉県内でも珍しい行事の1つとのことですが、「田子山富士」では毎年「山仕舞い(お焚き上げ)」の行事を行っています
事前準備は計4日間行われ、私は2日間参加しました。
8月1日(火)、午前9時集合。
「燃えさし」がすっかり冷めたら、針金を巻いてこの紙垂を取り付けるのですが、その作業はまた今度。
午前中2時間ちょっとの作業でしたが、この日は曇りで気温も少し低く助かりました
8月17日(木)。午前9時集合。
先日作った「燃えさし」に針金を巻いて完成させます。
「紙垂(しで)」と、
「お札」の2種類があります。
予定よりだいぶ早く完了したので、田子山富士と境内の草刈りをしました。
炎天下での草むしりは汗だくになりましたが、何とも言えない清々しい気分
伸びていた雑草がなくなり、スッキリした田子山富士
8月19日(土)。午前9時集合。
私は不参加でしたが、「山仕舞い」の前日、櫓(やぐら)3基を井桁に組む作業が行われました。
組上がった櫓をブルーシートで養生。
四方に立てた竹に注連縄を掛け、
結界を作ります。
8月20日(日)。
いよいよ『山仕舞い』当日です
神事は17:30からですが、私たちは16時に集合。
櫓の前に遥拝所が設けられていて、
ここからお焚き上げの炎越しに田子山富士の山頂・奥宮を遥拝します
17:50。いよいよ点火です。
まず松明(たいまつ)に点火
続いて櫓(やぐら)にも点火します
燃え盛る炎の前で宮司さんによる
祝詞奏上・お祓いが行われ、
無病息災・災難除けを祈念します
参拝者には、櫓の周りを囲むように列を作っていただきました。
境内整理担当班の皆さん、お疲れさまでした
猛暑の中さらに熱い
本当にお疲れさまでした
【吉田の火祭について】
『吉田の火祭』は、夏の富士山の山仕舞いのお祭りとして、毎年8月26日・27日に、富士吉田市の上吉田地区で行われるお祭りです。
通りには大きな松明が並べられ、多くの人が見物に訪れます。
古くは「日本三奇祭」、現在は「日本10大火祭り」の1つに数えられ、山梨県の無形民俗文化財に指定されています。
田子山富士の「山仕舞い」の行事も、
この『吉田の火祭』に倣っています
【元は諏訪神社のお祭りだった!】
現在では「北口本宮冨士浅間神社」のお祭りとして知られていますが、元々は、現在では摂社となっている「諏訪神社」のお祭りでした。
『甲斐国志』には、「上吉田村諏訪明神の例祭として町中で篝火を焚く」とあり、「上吉田の産土神である」と記されています。
浅間神社のある森は「諏訪森(すわのもり)」と呼ばれているように、当地には昔から上吉田の守り神である諏訪の神様が祀られていたのです。
『古事記』によれば、国譲りの力比べに負けた建御名方神は、信濃国・諏訪湖へ追い込まれました。
伝承によると、建御名方神が追われて逃げていた際のある夜、当地住民が手に松明を持ってお迎えしました。
追手は援軍と見間違えて退却したので、諏訪の神・建御名方神は当地にしばらく滞在され、そのためこの地を「諏訪の森」と呼び、地主神として「諏訪神社」を祀った、という伝承があります。
その故事を忘れないよう、住民が手に持った松明を大松明として焚き上げ、諏訪の神様を称えたのが火祭りの起源とされています。
やがて富士信仰が盛んになり、「浅間神社」の境内地が広がり勢力が増すにつれ、「諏訪神社」が吸収されて摂社となり、御師町の興隆によって氏神も「浅間神社」であるとされました。
「浅間神社」の御祭神・富士山の神様である木花開耶姫命は、火の燃え盛る産屋の中で無事3人の子どもを産んだことから、この故事になぞらえて火を焚くのだと言われるようになりました。
こうして『吉田の火祭』は、「北口本宮冨士浅間神社」と摂社「諏訪神社」の両社のお祭りとなったのです。
『吉田の火祭』では、火防のおまじないに松明の消し炭=「オキ」を拾い、火事除け・安産・子授・無病息災の御守として持ち帰る風習があります。
田子山富士の「山仕舞い」もこれに倣い「燃えさし」を配布しています
宮司さんによる祝詞奏上・お祓いが終了すると、参加者の遥拝が始まりました。
遥拝所でのお参り後、
「燃えさし」を無料配布します。
壁が黒くなってしまうので、燃えさしだけ透明のジップ付き袋に入れています
初参加の「山仕舞い」最高でした
拝殿での神事にも参列させていただき、御供物を運ぶお役目までさせていただきました。
こんな経験を人生でさせていただけるなんて、感謝の一言です
参加者に「燃えさし」をお渡しする時、皆さん本当に幸せそうで、
「ありがとうございます。」と必ず感謝のお言葉をいただき、心から幸せな気分にさせていただきました
この貴重な行事をずっと継続していけるように、これからも精一杯お手伝いしたいと思います
長文の記事に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました
【参考文献】
・北口本宮冨士浅間神社HP
・『北口本宮冨士浅間神社誌略』
・富士吉田市教育委員会『吉田の火祭のヒミツ』