この作品でまず奇妙だと思ったのは、冒頭のシーンでピーターソン家にデイヴィッドが歩いてやって来ると言う事です。
なぜかは分かりませんが、登場シーンからしていきなり不気味です。
イラク戦争で息子を失った悲しみを抱える家族らは、この息子の友人だという男デイヴィッドに次第に気を許していきますが、それで大丈夫なのか?とやきもきしました。
この両親は奇妙な出来事が起こっているにも拘らず、息子であるケイレブを失った悲しみからか、デイヴィッドを気持ち良く受け入れてしまいます。
デイヴィッドが怪しい人物である事は確かだという見方をしていたのですが、何がやりたいのか目的が分からないので余計に気味悪く感じました。
彼は次第に自分を守る為には、周囲を殺すというサイコパス的な一面も見せていきます。
更に言ってしまえば、彼自身に感情があるのか無いのかも分からない。
そんな彼の不気味さに最初に気付いたのは長女のアナ。彼女は陸軍基地に問い合わせて彼の身元を確かめます。
本作を鑑賞していてまず思ったのは、この話の怖さの本質は「オレオレ詐欺」に近いのではないかと言う事。
ピーターソン家の人々は「オレオレ詐欺」に引っかかる様に、デイヴィッドに騙されたのだと思っていました。
しかしそんなスケールの話ではなかったので驚きです。
デイヴィッドが一体何者なのかはストーリーの終盤にしか分かりません。彼の正体が明かされた時は、そんなのあり?と思いつつも納得しました。
冒頭のシーンで彼が気味悪く思えたのは、その不死身的な強さだったのです。
ラストはそんな殺戮マシーンの様な彼が、実は生きているのか死んでしまったのか分からないという後味の悪さを残して幕を閉じます。
ジャンルに捉われない自由な作りの作品だと思いました。