この物語を読むだけで死生観が深まり、人生が輝き始めます!! | 死に対して自由な心を求めた僕と彼女と妹の物語『フライザイン』の世界

死に対して自由な心を求めた僕と彼女と妹の物語『フライザイン』の世界

世界150の哲学、思想をもとに基礎知識ゼロでも分かる読みやすい物語にしました。あなたの感想お待ちしています。




生と死について考えようとしても、あまりにテーマが大きく深いため、挫折してしまいがちです。

自分で考えてもなかなか分からない。
かといって専門書は難しすぎる……。

この問題をクリアするために、一つの物語を書き上げました。

今日は、その一場面を紹介します。
自ら命を絶とうとした妹・春奈が意識を取り戻し、兄・進一と初めて会話を交わす場面です。
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じっと手を見る。救急車の中で妹の手を握り続けたこの手。あの時の春奈の掌は驚くほど冷かった。腐りかけた杏を連想させる手の色が僕の胸を締め付けた。
蘇った感覚を封鎖するように、ぎゅっと拳を結ぶ。

そろそろ〝息継ぎ〟が必要と感じた僕は力なく立ち上がり、いつものように春奈からの返事は期待せず「じゃあまたな」と軽く声をかけた。妹はマネキンのような静けさで、ただ横になっている。頭を掻いて背を向け、部屋を出ようとした、

その時、

「死なせて下さい」
呪いのごとき声が僕の背後を襲った。
夜道に突然肩を叩かれた時のように全身がビクリと反応し、凍りついた脳天から背筋に向けて何かが走り抜けた。押し上がった両肩をそのままに、ぎこちなく振り向く。そこに見えた妹の顔は、嘘っぽくて安っぽい人形に見えた。瞳は平坦で、ほんとに作り物みたいだ。

何かの塊となった僕が、それ以上反応出来ないでいると、妹は口だけを動かし、同じ言葉を繰り返した。

「死なせて下さい」
他人行儀な口調に、禍々(まがまが)しい毒気が含まれている。必死に言葉を返そうとするのだが、唇がワナワナ震えるばかりで声にならない。

心臓が脈打ち、顔中に汗がにじむ。混乱のまま、舌をもつらせ、やっとの思いで妹の名前を声にした。妹はタメ息で返し、ゆっくりと顔を僕に向ける。

「お兄ちゃん……」
「ん、ん?」
「お兄ちゃんが私を病院に連れてきたのですか?」
「あ、ああ。そうだよ」

次の言葉に期待を込めた。でもそれは一瞬で吹き消された。妹は、吐き捨てるように「余計なことを」と言ったのだ。
「え?」
「邪魔しないでください」
「おい、なあ春奈」
妹は反対側を向いてしまった。
「もう、いいです」
「え?」
「ほっといてください」
「春奈」
「とにかく、もういいのです」
「おい、一体、春奈。なあ、一体どうしたんだよ?」
「お兄ちゃんなんかに分かるはずはないのです」

妹の口調が段々強まっていく。

「いや、そんなことないって、なあ春奈、もう一度頑張ろう」
「うるさいです!」

妹はこちらに向きなおし、一段と声を荒げて僕を睨みつけてきた。

「どうしたんだよ」
「ぜんっぜん春奈の心、分かってません」
「ど、どうして」
「さっきの一言で、春奈のこと、億分の一も分かってないことが判明しました」
「え、だ、だって」
「お父さんの時もそうでした」

首筋を冷たい何かで撫でられた感触に鳥肌が立つ。

「な、」
「だからもういいのです」
「おい、春奈」
「くどいです」

出口のないやりとりが続く。
妹の口から、

「生きてる意味など全くありません」
「一日も早くこの世界から消滅したいのです」
「最初からなかったことにしたいのです」

といった言葉がギラリと光るナイフとなって切りつけてくる。気づけば僕は必死に叫んでいた。

「もう一カ月もすれば、お前の誕生日じゃないか。なあ、せめて、せめてそれまで待てよ。その間に僕が生きる意味を見つけるから!」

細められていた春奈の目が少しだけ大きめに開かれ、僕の顔のあたりを見まわした。

心地悪い沈黙。

澱んだ空気をどうにかしたいけれど、僕には対処の術が見つからない。重苦しさが部屋を圧迫する中、薄く笑った妹が口を開く。

「おもしろいですね。それ」
「え?」
「一カ月で答えを出すというのですね、お兄ちゃんは」

「え、あ」
「そうですか……」

口元に不敵な笑みを浮かべ、何かを味わうような時間をとって、妹は言った。

「では、見つけてもらいましょう〝生きる意味〟とやらを」

つばきを呑む、僕。

「まさか、冗談だなんて言わないですよね。一カ月で見つけてくれるんですよね」

「あ、ああ」

春奈はじっと僕の顔を見てから、頬をヒクヒクさせながら、えくぼを浮かばせた。

「じゃあ誕生日まで待ちます」
「え」
もし答えが見つからなかったら、今度こそ、死にます。絶対失敗しない方法で」

銃口をブラリと眉間に突きつけられた戦慄が走る。血の気が頭からサーっと下がり、バス酔いのような状態になって足元がふらつき、肩のあたりがぎこちなく揺れた。言葉を失っている僕をヨソに、春奈は素っ気ない動作で病室に架けてあるカレンダーに目を向けた。
「今日が三月十一日ですね。期限は四月十一日、いえ、十日としましょう。誕生日の前日まで」

そう言って、ククッと笑う。

「じゃあ、期待してますよ。お・に・い・さ・ま」

妹の目は血走っていた。
背中に氷柱を突っ込まれたように、全身が震えた。

一時の感情から出た言葉と思いたかった。でも、底光りする瞳は本気に見えた。

さあ、どうする?

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こうして進一くんの「生きる意味」の探求が始まりました。
特に、一章は、机上の空論に陥らないよう、現実の問題としてとらえることの大切さを意識してもらいたいと思って書きました。

二章は、世界の哲学の中で、生と死に関して最重要の内容を、基礎知識0でも分かるように分かりやすさをモットーに書きました。

三章が、その問題解決編です。

全編を読まれたい方は、こちらから読むことが出来ます。
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