やまいだれの歌/西村賢太♪ | YARDBIRD SUITE

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~チャーリー・パーカーの思い出~

親しくさせていただいている年長の友人から横浜の思い出話を伺った。三杯屋と呼ばれて愛された店、ガランスというバー、店名の由来となっている村山槐多の話などなど。ぼくは、友人でかつて「やまいだれ」という芸名を名乗り、横浜に縁のあった役者の話をした。そしてその夜にこの本を見つけた。タイトル、村山槐多の装画(「のらくら者」という作品)、冒頭は黄金町の描写と、三題噺のようだった。西村賢太という方は知らなかったが、読み進めるうちに「ああ、あの人か」と思い当たった。そんな経緯がなければ、おそらく縁のないままに終っただろう。青春小説として読んだが、まったく清々しくない。だからこそ、青春というものの本質を実感させてくれた。汚泥の底に潜む、水晶のような純情を♪