深夜の初会/内田百閒♪ | YARDBIRD SUITE

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~チャーリー・パーカーの思い出~

若い頃から読んではいたが、70才近くなって読み返す内田百閒には格別の味わいがある。「深夜の初会」は対談集だが、座談集と呼ぶのが相応しい。ここでの百閒はまさに百閒そのもの。吉田茂との座談では酔いにまぎれて部屋のバラの花にケチをつけ、志ん生には「くそじじい」と宣う。くそじじいからくそじじいと言われた志ん生は、もう帰りたくて時計ばかり気にしている。もちろんそんな話ばかりではないが。人は忘れるために覚え、別れるために出会う。自分が爺になってみると、百閒の文章から感じられる幸不幸も含めた人生の寂しさが身に沁みるのだ♪