仙台に帰った翌日、娘から電話があった。
引っ越しの手伝いのお礼の電話か。
すばやく電話に出ると、
―お父さん、洗濯機が臭くて置いておけないよ。
「なに、臭いのか」
物置に数年間、放置した洗濯機である。
「新しいのが必要なのかな」
―そだね～
そだね～、って、カーリング娘か。
「アマゾンに注文して、そっちに届ければいいのか」
-そだね～
「・・・・・・」
ふーとため息をついた。
甘い父親である。とにかく甘すぎるなあ。
更に3日後、娘から電話があった。
お礼の電話ではない。きっと。
不吉な予感がして、電話に出るのをためらった。
まさか・・・
－お父さん、冷蔵庫が全然冷えないよ。
「なに、冷えないのか」
―そだね～
「ひいー・・・」
思わず悲鳴をもらした。
―どうしたの？
「新しいのが必要なのかな」
―そだね～
そだね、そだねって・・・
返す言葉が見つからなかった。
「アマゾンで買って・・・」
―送ってくれるでしょう。古い冷蔵庫を引き取ってもらってね。
・・・やれやれである。
こうして、娘は、新しい布団、洗濯機、冷蔵庫を手に入れ、快適に暮らしたとさ。
結論
娘のところに行くのは、金がかかる。
と、パソコンに打ち込んで、素早く振り返った。
妻がいた。
「いやあ、また打ち間違えてしもた。年じゃのう、うはははは・・・」と笑ってごまかし、
再度、結論
娘のところに行くのは、時間がかかる。
「ふーん、面白くないわね」と妻。
・・・・・・・・・・・・・・
文句ないよね。
それでは、また。
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