カワラナデシコ | 野の花賛歌

野の花賛歌

 沖縄で見ることの出来る 南方系の植物を中心に 野生の草花や花木

 帰化植物、時には沖縄に集中する米軍基地などについて 


カワラナデシコ
   Dianthus superbus L. var. longicalycinus
  ナデシコ科
   ナデシコ属


カワラナデシコの沖縄における自生地は久米島と渡名喜島だが
個体数が少なく絶滅危惧種ⅠAに指定されている。




うすーく色づいた このタイプが多い






秋の七草の1つに数えられ、飾り気のない清楚な花は
日本女性をイメージさせ大和撫子の名があり、
和歌や絵画の素材として広く用いられている。





アダンの下でやっと見つけた タイプ





たとえば  丹比国人と左大臣・橘諸兄のやりとりの歌

我が宿に 咲けるなでしこ 幣はせむ
     ゆめ花散るな いや復ちに咲け
   丹比国人{万葉集巻20}

上の歌は
丹比国人が左大臣・橘諸兄を邸宅に招いた
酒宴の席で詠じた一首で、 


それに対して  橘諸兄は返しの歌を

幣しつつ 君が生ほせる なでしこが
           花のみ訪はむ 君ならなくに


と詠んでいる。




自生地の1つである久米島は沖縄本島から
約100km離れた西の洋上にあり、
面積は約59km平方で県内では5番目に大きい島である。

昨今は飛行機や船便が多く、日帰りの観光も可能になった。

30数年ほど前になるのだが、
カワラナデシコの自生地を求めて渡ったことがある。
飛行機を降りて予約したレンタカーに乗り換え、
自生地のイーフビ-チについた。



ところが!!
広ろ~い砂浜に咲くカワラナデシコをイメージしていたのだが、
現実は厳しかった。
大きなリゾートホテルが建ていて、ナデシコは探しても見つからない。

通りがかった地元の人に
ナデシコの自生地はこの辺だと思うんですが・・・と尋ねると、

あぁ!!  其所よ其所 あんたが立っているところサ」と指さした。

那覇から来たの!! でも 今はもうないよ~
         ゴミ捨て場みたいになっているからさぁ~


とすまなそうな顔をしてで教えてくれた。

なるほど 柵らしいもので仕切られてはいるが、まるでホテルの・・・みたい。

あきらめて帰るわけにもいかないのでくまなく探すことにした。
探すこと1時間余。
アダンの隙間に咲いている白い花に出会うことが出来た。



ほのかに色変わり




沖縄産のカワラナデシコは純白か薄い桃色で
他府県のそれとは趣が異なる。
画像はその時持ち帰った種子の何代目(?)かの子孫である。




着色タイプが多くなり純白種は少なくなった