「ハクソー・リッジ」銃を持たないのが素晴らしいのではなく、人を助けようとする心が素晴らしい。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「ハクソー・リッジ」の試写会に連れて行って貰いました。

 

ストーリーは、

人を殺してはならないという宗教的信念を持つデズモンドは、軍隊でもその意志を貫こうとして上官や同僚たちから疎まれ、ついには軍法会議にかけられることに。妻や父に助けられ、武器を持たずに戦場へ行くことを許可された彼は、激戦地・沖縄の断崖絶壁(ハクソー・リッジ)での戦闘に衛生兵として参加。敵兵たちの捨て身の攻撃に味方は一時撤退を余儀なくされるが、負傷した仲間たちが取り残されるのを見たデズモンドは、たったひとりで戦場に留まり、敵味方の分け隔てなく治療を施していく。

というお話です。

 

 

ヴァージニア州の田舎町に生まれたデズモンド・ドスは、第一次世界大戦で戦った父親と優しい母親と弟と暮していました。父親は、戦争から帰った後、戦友が沢山亡くなり、心を悼めていました。酒を飲み、暴れる父親は、ある日、母親を殴り銃を持ち出したので、デズモンドは、父親を組み伏せ、銃を取り、父親に突き付けます。その事件から、デズモンドは、神の教えである”汝、殺すなかれ”を守り、銃を持たないことを決めます。

 

町に戦争の影が落ちてきた頃、デズモンドは看護婦のドロシーと出会い、付き合い始めます。戦争は激化し、デズモンドの弟は入隊、デズモンドも陸軍への入隊を志願します。父親は反対し、ドロシーも悲しみますが、入隊の意志は変わりませんでした。

 

 

軍に入隊し、訓練を受けるデズモンドは身体能力が高く、良い成績を上げて行くのですが、銃の訓練に際し、彼は”良心的兵役拒否権”を行使し、拒み続ける。上官は、軍の命令に背くなら除隊しろと何度も言うのですが、デズモンドは決して辞めません。

 

扱いに困った軍は、軍の規律に従わなかった罪で、デズモンドを軍法会議にかけることになります。罪を認めれば恩赦で除隊させられ、認めなければ戦争が終わるまで刑務所に入れられてしまいます。会議が始まり、どうしても罪を認めないデズモンドの前に、ある人物が現れ”良心的兵役拒否権”についての書面を差出し、デズモンドは罪を問われず、衛生兵として戦地に派遣される事となります。

 

 

デズモンドが派遣されたのは日本の沖縄。激戦地のハクソー・リッジ(のこぎり山)です。何度攻めても日本軍に追い落とされてしまい、攻め込む事が出来ず、沢山の兵士が犠牲となっていました。あまりの惨状に目を覆いたくなるようでしたが、仲間を助けなければという気持ちがデズモンドを動かします。そして、軍が撤退しても、その地に残り、一人、また一人と、息のある兵士を崖下へ下ろし、救って行きます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

この映画、素晴らしいです。メル・ギブソン監督って、本当にスゴイ監督だなと思いました。内容も素晴らしいのですが、何が凄いなって思ったかというと、これ、アメリカと日本の闘いでしょ。普通なら、アメリカ側から見た日本だから、日本軍は鬼畜のように描かれても仕方ないんです。普通なら汚くて残酷な奴らとして日本人を描くと思うのですが、この映画を観ていると、凄く平等なんです。

 

 

平等と書くと、残酷な場面もあるだろうと言われるかも知れませんが、戦争なら何としてでも勝たなければならないんだから、残酷になるのは当たり前。むしろ優しいのが間違っているんです。だけど、お互いに必死で国を守る為に戦っているという姿をちゃんと描いているんですよ。こちらも必死なら、相手も必死なの。当たり前です。それがね、凄く良く描かれているんです。それだけこの戦地が、勝つか負けるかの最後の砦だった事を示しているのだと思いました。

 

沖縄戦で負けた事によって、一気に終戦に動くんですもんね。だから本当は原爆なんて落とさなくても戦争は終わったと思うんだけど、最後の一押しをされてしまったのが悔やまれます。

 

 

このデズモンドさんって、2006年に亡くなられたのですが、ずっと自伝の映画化は許可していなかったらしいんです。でも亡くなる少し前に、この行為は語り継がれるべきだという説得に応じて、映画化を許可されたようです。奥ゆかしい方だったんですね。

 

この最後まで銃を持たないという決断って、素晴らしいと思いながらも、やっぱり悩んでしまいます。相手が撃ってきても反撃しないって事でしょ。自分は殺されるだけなんです。凄い事だけど、この行為が上手くいったのは、運が良かったとしか思えませんでした。

 

 

まず、銃を持って戦う人が居るから、彼は怪我をした人を助ける訳で、怪我人が居なければデズモンドの居る意味が無い。となると、銃を持っている人が居るから彼が必要になっているって事でしょ。結局は、自分は銃を持っていなくても、銃を持っている人間と組んでいる事になるから、戦っているのと変わらないような気持ちになってしまったんだけど、まぁ、沢山の仲間を助けたのは事実だし、日本人をも助けてくれていたのだから、素晴らしい人だという事は認めたいと思います。

 

何処までも考えると、やっぱり戦争なんてやるべきじゃないという事に行き着くんですよね。なんで戦争って無くならないんでしょ。確かに、戦争があるからこそ、景気の乱高下があるし、武器が売れれば、経済が回り始めて景気が良くなるのは解かるんですけど、そこに人の命が掛かっているのが、どうしても納得いかないんです。戦争以外で、経済を動かす手立てって無いのかしら。本当に世の中は理不尽な事ばかりでイライラします。

 

 

映画の話に戻りますが、この映画は、日本人は観るべきだと思いました。何故なら、日本の国内で、こんなに激しい戦争があって、沢山の日本人が必死で戦っていたんだという事が判るからです。映画の中で日本人は敵役ですが、それでも必死だったことはちゃんと描かれているので、これ程までに、日本を守る為に戦ってくれたんだという事を忘れてはいけないと思いました。

 

それに、この沖縄戦で負けて、沖縄はアメリカの植民地となったんです。ずーっとアメリカとされて、1972年、今から45年前に日本に戻って来たにも関わらず、沖縄には大きなアメリカ軍の基地があります。日本の防衛には必要だと言われるかも知れませんが、やっぱり、そろそろ考え直す時期なのではないかと思います。でも、考えて見れば、アメリカ人も沖縄で沢山亡くなっているのだから、アメリカが沖縄にこだわるのも解らないでは無いと、この映画を観て思いました。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。但し、戦争映画や残酷な描写が苦手な方は、辞めた方が良いかと思われます。人間が戦いの中で、人からモノに変わる姿も描かれているので、結構、エグい場面もありますので、お気を付けください。でも、本当に良い映画なので、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S : 演劇で「木の上の軍隊」という井上ひさしさん作の作品があるのですが、以前、藤原さんと山西さんで上演され素晴らしい舞台でした。沖縄戦後の日本兵の姿を描いたものです。もし、気になられたら、観て見て下さい。

「木の上の軍隊」http://ameblo.jp/yukigame/entry-11514129976.html

 

ハクソー・リッジ|映画情報のぴあ映画生活

 

 

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