「マリウポリの20日間」
を観ました。
ドキュメンタリー映画なので内容は、
2022年2月、ロシアがウクライナ東部に位置するマリウポリへの侵攻を開始。
これを察知したAP通信のウクライナ人記者であるミスティスラフ・チェルノフは、仲間とともに現地に向かった。
ロシア軍の容赦のない攻撃による断水、食料供給、通信遮断。瞬く間にマリウポリは包囲されていく。
海外メディアが次々と脱出していく中、彼らはロシア軍に包囲された市内に残り、死にゆく子供たちや遺体の山、産院への爆撃など、侵攻するロシアによる残虐行為を命がけで記録し、世界に発信し続けた。
徐々に追い詰められていく中、取材班はウクライナ軍の援護によって、市内から脱出することとなる。滅びゆくマリウポリと戦争の惨状を全世界に伝えるため、チェルノフたちは辛い気持ちを抱きながらも、市民を後に残し、脱出を試みた。
というお話です。
監督のミスティスラフ・チェルノフさんは、この映画によりアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞し、この取材を敢行したAP通信社には、2023年にピューリッツァー賞が授与されました。ロシアからの攻撃を受けているマリウポリの生の映像を、その場所で見て撮影しているので本当に生々しいし、その攻撃により人々が死んでいく様をそのまま伝えているので、凄い衝撃作でした。
この作品にR指定が付いていないのが不思議なくらい、そのままの死体や死んでいく様が映っています。生まれて何日という赤ちゃんの死体も包まれていましたし、親が泣きながら連れてきて、そこで死んでいく乳児もいました。お腹が大きい妊婦が運ばれる映像もあり、女性もお腹の中の赤ちゃんも亡くなったようです。
とにかくロシアの攻撃が酷い。怪我人などが運ばれている病院を標的にし、ある時は産科のある病院を狙ったんです。あり得ないでしょ。たまたまそこに当たっちゃったんじゃないですよ。あんなにピッタリに当てるんですから、どう見ても狙っているんです。それをフェイク映像だと平気で言うロシアの大臣も最低でした。
ロシアの大臣だって人間でしょ。子供が血を流して死んでいる姿を見たら、誤りはしないにしても、お悔やみくらいいうべきじゃないの?人が死んでいるんだよ。どっかに脳みそ置いてきちゃったんじゃないの?人間臭ってます。
監督がカメラで撮影しながらインタビューしたりしていくんだけど、こんな酷いことが起きている中で撮影しているなんてと罵声を浴びせる人もいるし、真実を撮っておいてくれと言う人もいて、撮影も難しいんだなと感じました。だって目の前で泣いている人がいたら慰めるべきか撮影するべきか、監督が悩むんですよ。凄く人間的なんです。
きっとカメラを自分の目だと思って、撮影を続けたのだと思います。撮影しておかないと、言葉でいうだけでは信じて貰えないからです。こんな酷い現実を言葉で伝えるだけでは信じられませんよ。映像があってこそ、真実だったんだと解るんです。とても大切な事ですよね。
以前私は、戦場カメラマンなんて自分の利益のためだけに行くんだから、死んだって自業自得だよなと思っていたのですが、この人は違います。ウクライナが自分の国ですから、そこが壊されるのは耐えられなかったのだと思います。ギリギリまで残って、自分の国がどんなに変わってしまうのかを確認していたのだと思います。辛かっただろうなぁ。
目の前で自分と同じ国民が死んでいき、ちゃんとした墓も作ってあげられず、悲しい現実でした。途中で一般人が狙撃されたりもありました。あり得ないでしょ。普通に街を歩いているだけで、狙撃されるんですよ。戦争だからと言われても、昨日までは普通に歩けていた道なんですから。
これは私がうだうだと、凄い映画だとか、ロシアは本当に人殺しをしているんだと言っても証拠が無いでしょ。だから映画を観て貰うのが一番なんです。現実にロシアがウクライナの人々にしていることが、この映画に映されてしまっているんですから。これがドキュメンタリーの凄いところですよね。
ドキュメンタリーと言っても、一応、編集はしているので、完璧にそのままの映像ではありませんが、監督がいるので、監督が観て感じた映像を繋げて解りやすくしてくださっていると思います。監督の目と同じものを見せて貰っていると思えば正しいんじゃないかな。
私はこの映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。昨日に引き続き、またも満点の映画でしたが、ドキュメンタリーで衝撃映像がたくさん入っているので、覚悟して観てください。残酷な場面が多いし、私は観ていて苦しくて泣いてしまった場面もありました。それでも観るべき映画だと思います。真実を知るために、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「マリウポリの20日間」