いつも、ありがとうございます(^-^)ノ
少しずつ映画を観てまして…うちのブログで記事として書いておくかどうか迷ったんですが、感想を書かせていただきますね。
20日でしたけど、『配信犯罪』(2023年)を観て、次にこの作品を観ました…
アイアン・スカイ
ナチスが月から攻めて来た!!
前人未踏のSFアクションエンターテイメントの誕生!!
2018年、再選を目指すアメリカ大統領により、選挙PRのために月に送り込まれた黒人モデルのワシントンは無事に月面に上陸。しかし、すぐに鉤十字を身にまとう月面ナチス親衛隊クラウスに拉致されてしまう。なんと彼らは、第二次大戦後地球を後にしたナチスだった! 彼らは月へと逃亡し、地球へ復讐を果たすべく月の裏側に第四帝国を築き、軍備を増強していたのであった。
機は熟した。ワシントンをガイドに、月面総統閣下はいよいよ地球への侵略を開始する。地球ではアメリカを中心に急遽地球防衛軍を結成。
前人未踏の宇宙規模の戦いが今、始まる!
え~、2012年公開の、風刺SFコメディと言っていいんですよね。
「The Dark Side of the Moon」といえば、世界で最も売れまくったアルバムのうちの一つ、ピンク・フロイドの1973年の『狂気』ですが、第二次世界大戦後、滅びきったと思われていたナチス第三帝国が月の裏側に秘密基地を作り、そのまま70年間、地球とは違う歴史を歩んでいたという、「もしも」モノのSF映画どすな。
映画の冒頭、真空宇宙に引っ張り出されそうになったヒロインのスカートが脱げてる時点で笑ってしまうので、これはコメディだと早々に気づくわけですわね。
作品としてはフィンランド、ドイツ、オーストリアの合作ですが、フィンランド映画と考えていいようです。
『アイアン・スカイ』の制作陣は2005年にパロディ映画『スターレック 皇帝の侵略』を作っているそうです。
で、『アイアン・スカイ』の総製作費850万ドルの10%をファンの寄付で賄ったそうで、ハリウッドの分類では1000千万ドル未満の低予算映画でありながら、フィンランド映画史上、最高額の製作費の記録を更新したということです。
フィンランドはあまり映画にお金をかけないんでしょう。
てかハリウッドがかけすぎなんでしょうけど。
で、ナチスを題材にした映画ですが、ドイツのベルリン映画祭で最初に公開されたのが面白かったっちゅう話ですね。
私は実はナチが出てくる映画って好きなんですよ。
ナチってやっぱり現実に残酷を厭わなかったので怖いんですが、その怖さも含みつつ、いわゆる全体主義ですか、ファシズムの典型として映画では負の魅力を放つわけですね。
娯楽映画においても『インディ・ジョーンズ』シリーズ(1981年~)や『イングロリアス・バスターズ』(2009年)は悪役をナチにしたゆえの魅力がある作品ですし、アメコミ系でも『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年)もですよね。
ナチに限らずとも、やたらと攻撃的で軍事に力を入れて、軍のパレードや行進に懸命な国って、未来的には空疎に空回りしているし、その分をもっと他のことに頑張った方が国民も幸せになるんだろうけど、よその国と敵対することで国家存在の意義を感じたがる人たちがどの国にもいるんだから極端に行ってしまうケースもどうしても仕方がないのかもしれない…とは考えたくないんだけど、日本人だってやたら軍備増強にこだわるイキりの人っているもんでしょ。
その結果がアメリカから高~い兵器を買わされる顛末なんだろうけど、だったら自分の国で作った方がまだなんぼかええと思ってしまうんですけど。
いや、経済的に。
そんなそんな、いろいろなモヤモヤを具体化して観客に考えさせてくれてるのが風刺の映画であり、パロディの映画でしょう。
『アイアン・スカイ』も70年間、月で独自の発展を遂げたナチがいかに奇妙に見えるかを描いていますが、同時に地球の国々、特にアメリカもどんなけ変かを見せてくれてると思います。
あと、映画では人種にまつわる笑いもあって、私にはツボだったんですが、逆に言えば、どの国のどんな人も、自分の人種、民族を誇っていいのだということなんだと思います。
誇るべき、誇りに思うべき、というよりも、人種や民族で引っ括めて悪しざまに言うことがどれほどおかしいか、ちゅうことですね。
いい年になってもま~だそんなふうに言う大人もいますので、若者たちの手本にはなりませんな。
人種や民族、国籍を突き詰めて考えれば、結局は人は人なんだと思うもんなんですけどね。
映画のストーリーには詳しく触れませんが、アメリカ人のジェームズ・ワシントンさんを案内人に、月面ナチスの人たちがアメリカへやって来てしまい、当初は地球征服の野望が成功しそうになるが、って話です。
で、合衆国大統領と大統領の選挙対策顧問もそうとう変な人たちなので笑いが絶えないわけですね。
要するにもうほとんど全部がおかしいので、選挙キャンペーンのために月へ行かされた宇宙飛行士ジェームズ・ワシントンさんがやたら常識人に見えてしまったりする。
映画の風刺ですが、私がアジアの島国ニッポンの人だからでしょうか、アメリカや国連会議の風刺の笑いは、そこまで把握できなかったんですね。
私の場合、細かい笑いはイケるんですが、政治や国際関係などはちょっと難しいのかな。
70年、月で頑張ってきたナチの変さは笑えたんですけどね。
コメディ映画としては、ムチャクチャじゃないというか、映画の主張は納得なものではないですか。
観客は観て笑うんですが、笑うってことは映画の中で起こっていることをおかしいと考えてるから笑うんでしょ。
で、この映画、私も前々から知ってたんですが、今の時点で観ようと思ったのは、どなたかの他の映画のご感想で、『アイアン・スカイ』で朝鮮民主主義人民共和国が露骨に描かれているって知ったからなんですけど、確かに、朝鮮民主主義人民共和国もちょっとですが出てきますね。
要するに「嘘ばっかりつくからすでに信用されてない国」って認識で笑われてしまってるんですが、どうもフィンランドやその他の国ではそういう認識のようです。
ちなみにEU加盟国の多くは北朝鮮と国交を結んでるそうですね。
で、その北朝鮮がらみの笑いですが、私は別にそこまで笑えなかったかなあ~。
映画の中で北朝鮮を風刺するのってあまり知らないんですけど(もちろん国際的な「いじめ」に見えるかもしれないし、北朝鮮の人が怒るような失礼なものになる場合もあるでしょうけど)、デリケートなことなのかな。
『007』の敵でありましたよね。
『アイアン・スカイ』にはまた、これまでの映画のパロディもいっぱい投入されてるでそうですが…う~ん、私は気づけませんでした
なんとな~く、アレかな、とか思いましたけど。
キャラクターとしては主人公になるんでしょうけど、月面ナチスの地球学者レナーテ・リヒターさんがホント好きですね。
美人なんですけどね、ナチを讃えるきれいごとだけを信じてきたので地球人的にはやっぱりズレてる変な人なわけです。
彼女が本気で信じてるナチの思想をファシズム的に言論するのは、奇妙に見えるけど、なんか素敵にも見えてしまいました。
もちろん彼女が地球へ来て、いろいろ知って変わっていくことが見どころなんですけどね。
レナーテにはクラウス・アドラー(ゲッツ・オットー)というガチガチのナチ(そして差別的な思想の持ち主)でありながら、我こそはと権力の座を狙う男性が婚約者だったりするんですが、レナーテとクラウスの関係の行方は…
そこも物語上、面白かったんですが、レナーテと深い仲になるのは別の人なんすよねー。
レナーテを演じるユリア・ディーツェさんは美しいし、また演技者として優れていますが、そういう女優さんがこうゆう風刺SFで的確な演技をされると、笑いの度もまたドッと高まるのでした。
合衆国大統領と大統領の選挙対策顧問ヴィヴィアン・ワグナーも女性キャラですが、こちらはなかなか恥ずかしいキャラで、特にヴィヴィアンが宇宙船に乗る時に着た服がイヤな感じでした。
笑えたけど。
最後のオチは、せっかく月面ナチと戦うことで一致団結しそうになった地球の国々ですが、結局は所有欲からいがみ合い決裂していくという…悲観的な最後ですね~。
逆に月面にいた人たちの方が助かったりして
そういう結末にはやっぱり国同士のいがみ合いがいかにバカバカしいか、政治家には任せておけんという、人々への警鐘が含まれていました。
シニカルですけど、ちょっと引いて見るとその通りどすなあ。
結論として、そこまで新しい何かを観たってほどには至らなかったけど、映画として完成度が高いし、面白い映画を観たなあ、ホント人類ってアホを繰り返してきてるなあ…って感じでした。
それと音楽のスロベニアのライバッハですが、多分、実験音楽などのファンの方々には馴染みのある音楽グループではないでしょうか。
私は詳しく知りませんが非常に個性的な存在だとしてグループ名は聞き及んでおります。
そういったグループがこの映画の音楽を担当したことも面白いですよね…♪
で、2019年には続編の『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』が公開されたわけですが…観客たちの反応も悪く、興行的にもコケて、製作会社が破産するというような大変なことになってしまったようですね…
いや~、どうしちゃったんだろ
同じ製作陣なら、いい続編を作りそうなものですが…
でもなんと、続編にはキム・ジョンウン様も出てこられるみたいですし、より国際的な風刺の度は上がってるようなんですが…広げすぎてスベッたんかな
そういえば…私、松本人志初監督作の『大日本人』(2007年)のラストって意味がずっとわからなくって、あれ…赤い怪獣って「北朝鮮」で大日本人(と彼のおじいちゃん)が勝てなくって…そこへ大アメリカ人の一家が来て、「北朝鮮」怪獣をボロボロにやっつけて…大日本人を家に招待して…って、あれって日米関係とか、日朝関係を表してるのってずっと後になって考えたんですわ。
そんなん監督からしたら気づけなくってアホかと思うかもしれないけど、いや、わかりにくいってば
で、日本は北朝鮮に負けてるの~
でも、アメリカだったら北朝鮮をボロボロにやっつけられるの
なんかさすがにそこまで単純じゃないと思うけど…。
トランプ前大統領だってキム・ジョンウン様と対談するものね。
だからさすがに政治家の方々は戦争をしないように努めてるんだと思うんだけど…そうは言ってもロシアやイスラエルが攻撃をするものね…。
だから何が起こるかはわからないんだけど…。
ともかく『大日本人』の政治的なメッセージについては、私はちょっとわかりませんでした。
それは置いといて本題の『アイアン・スカイ』ですが、ガチガチに攻めてる風刺モノというよりも楽しいSFコメディとして観て満足感がありました。
私ゃレナーテ・リヒターとジェームズ・ワシントンが好きでした。
次のうちの記事…日本映画も続けて観てますので、また書かしてもらいますね
5月もよろしくお願いします…
今日もありがとうさんでした☆⌒(*^-゜)v
アイアン・スカイ
Iron Sky
아이언 스카이
钢铁苍穹
2012年製作/93分/PG12/フィンランド・ドイツ・オーストリア合作
日本公開:2012年9月28日
配給:プレシディオ
監督 ティモ・ヴオレンソラ
脚本 マイケル・カレスニコ ティモ・ヴオレンソラ
原案 ヨハンナ・シニサロ ヤルモ・プスカラ
製作 テロ・カウコマー
撮影 ミカ・オラスマー
編集 スレーシュ・エイアー
音楽 ライバッハ
レナーテ・リヒター - ユリア・ディーツェ (甲斐田裕子)
ジェームズ・ワシントン - クリストファー・カービイ (高木渉)
クラウス・アドラー - ゲッツ・オットー (楠大典)
ヴィヴィアン・ワグナー - ペータ・サージェント (朴璐美)
アメリカ合衆国大統領 - ステファニー・ポール (塩田朋子)
ウォルフガング・コーツフライシュ総統 - ウド・キア (後藤哲夫)
リヒター博士 - ティロ・プリュックナー (岩崎ひろし)
国防長官 - マイケル・カレン (高岡瓶々)
サンダース船長 - ベン・シーマー (岡本未来)
インド代表 - アーシャッド・パンジャタン (松嶋潤)