ホラー『おばあちゃん』(世にも奇妙な物語)ネタバレ・あらすじ・感想 | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

ホラー『おばあちゃん』は後からジワッと来る恐怖。(世にも奇妙な物語)ネタバレ・あらすじ・感想

おばあちゃん(世にも奇妙な物語)概要

『おばあちゃん』は、2005年10月4日にフジテレビの「世にも奇妙な物語 秋の特別編」の中の1つとして放送された。
同時に放送された作品の中には『ネカマな男』

伏せられた真実の中にゾッとする恐怖が潜む作品。

おばあちゃん(世にも奇妙な物語)ネタバレ・あらすじ

美保(柊瑠美)は、両親と共に、
赤ちゃんの頃に1度だけ抱いてもらった事のある祖母(草村礼子)のお見舞いへ行く。
祖母は人里離れた山奥に住んでおり、危篤となったこんにちまで、肉親と言えど全く交流はなかった。
それでも父(樋渡真司)にとっては実の母だから亡くなる前に1度は会っておきたかったのだ。

行く道すがら母(深浦加奈子)は「お兄さん(父の兄)だっているのに、なんで私達ばかりなの?!」と父にブーブー文句を言っていた。

山里の病院に着くと、祖母は、栄養補給や排尿などの医療用チューブに繋がれて意識はない。

主治医に呼ばれて両親が席を外している間、美保が病室で待っていると、祖母の呼ぶ声が聴こえた。
驚いて美保は、祖母の傍へ行き手を握る。
目は瞑ったままで口も動いてはいないのだが、不思議な事に美保にはハッキリと祖母の声が聴こえた。

美保は祖母に優しい言葉を掛けて励ます。
祖母は最後に美保と話せた事を喜ぶと、自分が明後日の朝までの命である事を告げる。
そして「生き別れた弟に最後にもう1度だけ会いたいから、一日だけでいいから、美保に体を貸してほしい。」と頼むのだった。
《祖母の事は好きだけれど、祖母に体を貸して、もし、祖母が戻って来なければ、自分は病の床に伏せる祖母の体のままで苦しみながら死んでしまうかもしれない。》
咄嗟にそう感じて、美保は嫌がった。
すると「いいのよ。美保と話が出来ただけでも良かった。帰りなさい。」と弱々しい声で自分の事を労わって諦めようとする祖母。
美保は、そんな祖母が憐れになり「必ず戻って来る事。」を交換条件に、体を交換する。

こうして美保の魂は老いて弱り切った祖母の体の中に入り、病院に取り残された。
一方、美保の肉体で両親と共に家へ帰った祖母は、翌日、学校へ行くフリをして、会いたかった人の家へ行く。

実は、会いたかった人が弟と言うのは嘘で本当は、若い頃に親の反対で自分の元を去り、別の女性と結婚した元恋人のお爺さんだった。
美保がその人の家を訪ねると、寝たきりとなり、意地悪な嫁にぞんざいな扱われ方をしていた。
美保の姿の祖母は、鬼嫁が部屋を出て行った隙に、ほんのひと時、その人の傍らに座り「わたしよ。わかるでしょう?」と話し掛け、おかゆを食べさせてあげて、来世で会う事を約束した。
ところが、そうしていると鬼嫁が戻って来て、小学生が学校も行かずに、フラフラしているとして、警察に通報され、両親を呼ばれて夕方までお説教をくらう。

このままでは、美保との約束を守れないと焦った祖母は、隙を見て逃げ出して、タクシーを拾って病院へと向かうが、料金が不足していると途中でタクシーを降ろされてしまう。
しかたなく、そこからは走って必死に病院を目指すが、時間は刻々と過ぎ、だんだんと夜明けが近づいて、空が白み始めた。

その間ずっ~~~と、痛みに耐えながら、不安と共に祖母を待ち続けていた美保。
ようやく、どうにか臨終の予定時間に間に合い、祖母は病室に戻って来た。
会いたい人に会えた事を聞いて「良かったね!お婆ちゃん。」と美保は祖母の願いが叶った事を喜んだ。
「ありがとう、美保!」
美保はようやく、祖母の体から離れ、この苦しみから解放される事に安堵した。

それから30年後。
中年の年齢に達した美保(片平なぎさ)は、母親の通夜に参列していた。
以下は美保の心の中の声である。

最後の三年間、あの時の祖母と同じように、寝たきりになって苦しんだ母…いいえ、あの女を、私は手厚く介護して看取った。
けれど、美保には本当にすまない事をした。
でも仕方なかったの。
私にはまだ沢山遣り残した事があったから。

だって不公平じゃない。私だけが、あんなに辛い思いをしてこの世を去るなんて。
この女にも、同じように辛い思いをしてもらわなきゃ…。

おばあちゃん(世にも奇妙な物語)感想

う…ん、やっぱりか。
『奇妙な物語』なんだから、心温まる家族の物語で終わるわけないとは思って、美保に死亡フラグ立ってるのは薄々感じていたけど…。

そもそも、信じるか、信じないかの選択を迫られた時、信じるを選んで大丈夫なのは、信頼関係のある間柄だけと思いませんか?

いくら実の祖母でも12年ほども会ってなくて、前に会ったのは赤ちゃんの時っていうんだから、ほぼ初対面も同然なわけです。
にも関わらず、祖母を信じて、体を貸してあげた美保は本当に優しいいい子です!

その優しい孫の信用を最後には踏み躙る祖母の業の深さよ。
最初から裏切るつもりではなくて最後の最後に魔が差したのだと思われますが…それでも幼い純真な孫の人生を奪うという人間の業の深さに、まず第一の恐怖を感じます。

そして二番目の恐怖は…30年後にすっかり熟女の年齢となった美保(祖母)は、手厚く看病したと言っていますが、
まぁ、そこんとこは、あんまり重要ではないかと感じます。
それよりも、美保と入れ替わってからの30年という長い年月が過ぎ去っています。
その間、もしかして美保(祖母)は、何度か自分が本当は美保でない事を幾度か母に匂わせたかもしれません。
具体的に言葉にして言わなくても、母は美保に、自分の娘ではないような違和感を感じていた筈です。
「この子ったら、まるでお義母さんのような古臭い事を言うわ~」みたいな。
けど、まさか美保と魂が入れ替わっているなんて事は、一瞬、脳裏をよぎったとしてもバカバカしいとすぐに否定したのではないでしょうか。
しかし!祖母の復讐の本番は、母が寝たきりになってからだとするとどうでしょう?
あのテレパシーの様な能力で「あなたの娘は遠の昔に死んだわ。私は、あんたの姑よ。」と、口がきけなくなった母に伝えていたとしたら、とんでもない精神的虐待となりますね。
なんとも恐ろしい。

もし、そんな疎遠になるのではなく、普段からもっと、両親が美保も交えて、祖母と頻繁に交流をしていたならば、
祖母にも、美保を想うしっかりとした愛情が育っていて、
また結果は違っていたかもしれません。

そういう意味からもこれは、人間の業が招きよせたホラーなのでしょう。