ドラマ 吉原炎上 観月ありさ ネタバレ~その3 | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

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ドラマ 吉原炎上 観月ありさ ネタバレ~その2の続き。

ドラマ 吉原炎上 観月ありさ ネタバレ~その3


「株相場に手を出してしくじり、お客の金を使い込み、警察からは既に指名手配されていた如月の客は、もう後がないと思い、最初から心中するつもりで、夕凪楼へやって来たのだろう。」と赤倉スマ。
夕べは夕凪楼の端部屋の女郎全員を集めて御ちそうを振る舞い、芸者まで呼んで羽振りの良さを見せつけていた。
だが、それは虚勢を張った見せかけだけの姿で、実のところは無一文で、死ぬ前の最後の大見栄の饗宴であったのだ。

「如月は元々、娘の難病を治す治療費を稼ぐため、吉原に売られて来た。
ところが、娘は死んでしまい、亭主は如月が身を売った金を持って、他の女と行方をくらますしで、可哀そうな女だった。」とお兼。
その話を聞いて若汐は
「ちゃんと生きて必ずお母さんに会うんだよ。」と言った如月の心の内には、娘への果たせなかった想いがあった事を知った。

吉原で死んだ女たちは、特に葬式もされず、多くの場合、引き取り手のない遺体は、すべて三ノ輪の浄閑寺へ運ばれた。
死んでも大門から出る事は許されず、誰にも見られる事のないように、明け方こっそり裏口からお歯黒ドブを渡って運ばれた。


年が明けて明治41年の春。
この日、若汐は、昼間から勇吉が迎えに来て、連れ立って
写真を撮りに出かけた。
勇吉の身なりは立派な紳士で、とても海軍で働く兵隊風情には見えない。
途中、白妙の姿が見えたので、若汐が「雪ちゃん、雪ちゃん!」と呼び止めるが、白妙は今一つ元気がない。
若汐は白妙に、写真を撮りに行く事を告げて「あの人と一緒に。」と、勇吉の立っている場所を振り向いた。
視線の先に勇吉を見ると、何故か、白妙の笑顔は消えた。
「お客さん?」と尋ねる白妙に、若汐は、いつか話した幼馴染である事と、年季が明けたら一緒になる事を話して別れた。

数日後、夕凪楼で刃傷沙汰があった。
花里に入れ込んで妻も子も捨てて金を使い果たした客が、金の切れ目が縁の切れ目とばかりに、花里に冷たくされた事に腹を立てたのだ。
花里が寝物語に「一緒に死んでもいい。」と言った言葉を客は真に受けていたようだ。
包丁を持ったまま、男は外に逃げた花里を追いかけて行った。
この日は大雨で、花里は今まで必死に貯め込んだ壺を持って逃げていたが、躓いて転んでしまい壺が割れ、中の金が、じゃじゃぶりの雨の下で散らばる。
必死に拾い集める花里の背中を、男が後ろから一突きにした。
馬乗りになり3度も4度も突かれて花里は息絶えた。

雨が上がったその日の夜、若汐は左京と共に、窓辺から花火を見物していた。
すると、ふいに左京がつぶやいた。
「女郎なんて花火と同じ。パーッと一瞬、咲いたかと思うと、後は藻屑になって散って行くだけ。如月も花里も散って行った。」
美しく燃えるのは、咲き誇るのは、その時だけの、花火にも、桜にも似て…女郎の命はなんと儚いものだろうか。


それでも、自分には、待っていてくれる勇吉がいるから、他の花魁とは違う。
いつか年季が明けたら、ここを出て、ごく普通の女のように、幸せになれると思っていた若汐だった。
ところが、そんな若汐の夢も、ある日、木端微塵に打ち砕かれるのである。

信じ切っていた勇吉が、実は海軍の兵隊などではなく、大きな海産物問屋の入り婿で、妻も子もいたのだ。
その現実を若汐に突き付けたのは、他ならぬ白妙であった。

最初は信じられなかったが、足抜けと間違えられてまで、白妙から渡された住所まで駆けて行く。
形振り構わず髪を振り乱して、道行く人に住所を訪ね歩き、その場所へ辿り着くまでの道すがら知り合ったのが、大倉修一郎であった。
大倉は親切な男で、若汐と一緒に紙に書かれた住所の店を探してくれた。
「あの店だと思うよ。」と大倉が指さした店は立派な大店で、船着き場の階段を上がったすぐ前に立っていた。

若汐が裸足で、その店を目指して駆け上がると、ちょうど店の暖簾をくぐって出てきた勇吉と出くわした。
事実を確かめようとする若汐に、勇吉は戸惑った様子で、
店の中からは妻らしき人の「あなた、どうかなさったの?」という声が聞こえていた。
それから次の瞬間、乳飲み子を抱いた女性が暖簾をくぐって出て来て若汐を見たが、一向に動じず、難しい話なら中に入ってもらってはどうかと落ち着いて言った。

「この女は吉原の女だ。」と勇吉は妻に告げた。
すると「なんだぁ~吉原の…」と呟き、薄らと口元に笑いを浮かべて若汐を一瞥し「どんなお話があるか知りませんけど早くして下さいね。」と店の中へ消えた。

「見ての通り、俺の女房と子供だ。俺のこの世で一番大事な女房と子供だ。」
悪びれもせずキッパリと、そして真っ直ぐに若汐の顔を見据えて勇吉は言った。
「わかったら帰ってくれ。」
そう言われても、若汐にすれば納得出来るものではなかった。
「だったら、どうして?!どうして、年季が明けたら一緒になろうなんて言ったの?」と尋ねずにはいられなかった。
謝罪の気配など微塵もなく勇吉は開き直り、蔑んだように
「年季が明けたら一緒になる?俺はそんな事一度も思った事ねえよ。」と吐き捨てた。
そして「若汐という遊女となら遊んだが、海の匂いのするひーちゃんは、おまえが女郎になったって聞いた時にもう死んだんだ。」と言って若汐の手を振り解いた。
若汐が一途に信じた愛情も、勇吉にとっては、ただの遊びに過ぎなかったのだ。

「この愛だけは…」そう思い込んだのは自分の思いあがりに過ぎなかった。
若汐は目の当りにした現実に打ちのめされて、フラフラと元来た道を辿る。
大倉は、その様子の一部始終を見ていたが、あえて声は掛けずに、遠くから若汐の様子を見守っていた。

夕暮れの河原に蝉しぐれ。
夢から醒めた女郎がひとり。

さんざん泣き明かした後の河原で、やっと立ち上がり、
川風に身を晒していると、土手の上から「良かった!」という男の声が聞こえた。

振り返ると大倉が見下ろしている。
「倒れるんじゃにかと心配したんだけど、大丈夫みたいだね。」

涙と一緒に何かが若汐の身体から抜け落ちて行った。
もう迷わない…若汐は先ほどと全く違うしっかりとした足取りで吉原へと帰って行く。

一定の距離を置き、その後をずっと、大倉はついて歩いて来た。
若汐にお金を貸したという事もあったが、それよりも心配な気持ちの方が大きかった。

夕凪楼へ帰り着いた若汐に続き、大倉もまた夕凪楼の扉をくぐって中へ入ったのだが、若汐が足抜けしたのではないかと大騒ぎしていた最中の帰還だったので、大倉に気を留める者はいなかった。

この夜から、若汐は「張り店に出る。」と言い出した。
もうすでに部屋持ちになっていたのに、
そんな必要はないと、お兼が止めたが、何やら憑き物が落ちたようになっている若汐は、けっして譲らなかった。

張り店に座る若汐の耳に、いつかの如月の言葉が甦る。
「ここで生きて行こうと思ったら、心も身体の凍らせてしまう事だ。」
もう何も縋るもののなくなった今だから、心も身体も凍らせたい。


明治42年の春。
若汐は、夕凪楼の看板花魁にまで上り詰めていた。
それでもまだ張り店に出続けていた。
出ても出なくても(カッコつけてもつけなくても)花魁は花魁だから。
男に抱かれ穢されて、春を売るのが商売だから。
それなら晒し者でいいと。

そんな時、あの大倉修一郎が、画材を持って、若汐を訪ねて来る。
彼は、肉欲の対象として若汐を見ていないという事を、そういった行動で示したかったのやもしれない。
だが、そんな客は初めてだったので、若汐は戸惑った。
からかわれているのかと思って、一旦は断ろうともした。
だが大倉は「君の時間を買うと思ってくれ。」と言って食い下がったので、結局は申し出を受け入れた。

ドラマ 吉原炎上 観月ありさ ネタバレ~その4へ続く。

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