映画 メメント ネタバレ(時系列順) | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

洋画のご紹介です。

映画 メメント ネタバレ(時系列順)


映画 メメント 概要


2000年公開のアメリカ映画。
監督:クリストファー・ノーラン
主演:ガイ・ピアース
ジャンル:サスペンス

10分前の記憶を忘れてしまう前向性健忘の男が、自分で書きとめたメモだけを頼りに妻殺しの犯人を追う異色サスペンス。

この映画は普通に1度見ただけでは何が何だかわからない。
なぜならば、ストーリーの時系列が逆さまになっているから。
映画を制作する段階で、ラストシーンから撮影するとかならばよくある事だが、
上映される完成作品が、ラストから始まり、物語の冒頭で帰結するのは前代未聞。
更に1つのプロットが終わる事に、差し挟まれるモノクロの過去トークは、
主人公が妻殺しの犯人を追いはじめてから、電話で話した事件前の記憶であるが、
その記憶は主人公の都合のいいように改変されている。
しかし、その改変は無意識に行われているようで、本人はそれこそが真実だと信じ切っている。

今回は、この映画のネタバレを時系列に添って詳細に書くという、かなりしんどい事をやってみた。


映画 メメント 時系列順ネタバレ・あらすじ



【麻薬取引に関する電話】

レナードは、自分に障害を負わせ、妻を殺した犯人を追っている。

電話で誰かと話すレニー(レナードの愛称)。
レニー「ジミーはナタリーを使って取引を?取り引きにはヤツだけが?…麻薬で近づくのが一番だ。心配ない。準備は出来ている。ロビーに?君の顔は?」
走り書きをするレニー。
「すぐに行く。」と言って電話を切り、資料の束や壁に貼った考察図面を持ち、部屋を出る。
ロビーに行くと、テディことギャメル刑事が待っていた。
二人揃って歩いて行く。

車を停車させてある場所まで来ると「ここだ。」とテディは立ち止まり、そこで、レニーはインスタントカメラでテディの写真を撮影する。
この時、テディの方から「ギャメル刑事ではなくテディと呼べ。」との申し出あり。
テディは秘密捜査なので、その方がいいと言う。

テディの写真のフチにテディと書きつけているレニー。
捜査には、なぜかテディは同行しないと言い、レニーに自分の電話番号のメモを手渡す。
レニー、その番号も、先ほどのテディの写真の名前の下に書く。
ここで2人は別れ、レニーはそのまま、テディが用意してくれた、その車に乗って出発する。
別れ際にテディはレニーに「謝らせろ。」と助言。



【廃屋での殺し】
レニーが車で行きついたのは郊外の工場跡地。
中に入って待っていると、やがて車に乗った一人の男が到着した。
その男は「テディ。」と呼びかけながら中に入って来た。

「ジミーか?」と尋ねると「なぜ、ここに?」と男は尋ね返した。
レニーが、もう一度、彼に名前を尋ねると「他にいるか?忘れ野郎。」と答えた。
ジミー・グランツはレニーを以前から知っていると言う。
そして笑いながら「テディは?」と聞いたジミーを、レニーは突然ぶん殴る。
そして裸になるように命令するが、殺される事を知ったジミーは「金なら車にある。」と言って命乞いをする。
だが「金は欲しくない。」と言うレニー。
そして「俺の人生を返せ!。」と言って殴りかかり、ジミーを地面に捻じ伏せると首を絞める。
この時、レニーの脳裏には、在りし日の妻の姿がフラッシュバックしていた。
殺害が済むと、すぐさま、ジミーの遺体をインスタントカメラで撮影し、ジミーの着ていた服に着替える。
そしてジミーの遺体を地下に引きずって行こうとするが、その時に、ジミーが意識を取り戻し、まだ生きているとわかると同時に
彼の口から「サミー…。」という言葉が漏れ、レナードは、なぜジミーがサミーを知っているのか?と戸惑う。


と、その時、外で気配がするので出てみると、ちょうど車で着いたばかりのテディが、車のドアを開けて出てきたところであった。
(この時、既にレニーはテディの存在や名前や指示など、すべてを忘れていた。)

状況が飲み込めないレニーは自分のポケットの中を探り、数枚の写真を出す。
写真の中には、外の男を写した物、目の前の男を写した物と数枚があった。
自分が殺した事はわかりつつ、外へ出ると「頼む、男が怪我しているので医者を呼びたいんだ。」と声を掛ける。
外の男は小走りに廃屋の中へと入って行き、続いて入ったレニーは、彼に「記憶がなくて。知り合いか?」と尋ねる。
すると、男は「いや、俺は刑事だ。」と答える。
男「息は?」
レニー「さあ、たぶんな…。」
横たわった男の前に着くと、屈みこんで、刑事と名乗った男は「何をしてた?」とレニーに尋ねる。
「覚えてない。記憶が…。」と言いつつ、刑事と名乗る男の背後に回り込み、頭を殴るレニー。
この時、横たわった男は既に死んでいたようであった。
殴られた自称刑事の男は驚いて「レニー!殺す気か?!」と叫んだ。

「俺を思い出したか?おまえは刑事だな。」と言いながら、男のズボンの後ろポケットから財布を抜いて確認するレニー。
男は殴られた頭を押さえながら「ヤツを見つけてやった。」と告げる。
だが、レニーは、男を信用する事が出来ず、そのまま地上階へと連れて行くと
「あいつは俺を知っていた。」と言って状況説明を求める。
テディが「おまえの女房を殺したやつだ。」と言うがレニーは「あいつじゃない。」と反論する。
テディ「名前はジェームス・ジョン・G。刺青を。」
レニー「何で20万ドルも?」
テディ「俺が麻薬を売るとでも?」
レニー「売人か?」
テディ「そうだ。それにやつが犯人だ。ついでに俺たちも稼げる。」

この時、テディは、レニーがジミーと麻薬の取引をしていた事を匂わせた。
「取引に使ってたフロントが君の事を知ってる。あそこの写真を撮ってたろ?」と裏付けのような事を言う。

テディに利用されて、麻薬の取引現場へと誘導されていたと気づいたレニーは怒る。
ジミーがサミーの名前を知っていた事が気掛かりで、怒りを募らせるレニーだった。

しかしテディは「君は誰にでもサミーの話をしている。」と言い出し、その話が事実ではなくて、
レニーが作り出した架空の話だという事も告げる。
だが、テディは、自分を慰めるために誰でもやる事だし、事実と食い違っていてもかまわないとまで言って、
レニーがこれまで反面教師として教訓にして来た話を全否定してしまった。

それを聞いて茫然自失となったレニーに、更に追い打ちを掛けるかのように
「かみさんの命は助かった。」と、遠回しに追っている殺人犯の不在を暗喩する。
それから「奥さんは、君の症状を疑い、苦痛と苦悩で身体はボロボロだった。インシュリンを必要としていた。」と話した。
「インシュリンを必要としていたのはサミーの妻だ。話したろ?」とレニーが不可解な顔をして言うと、
テディは、何度も繰り返されるその話こそが、自己暗示のための作り話である事を仄めかす。
「サミーは最後は療養所へ行った。」と、サミーが、如何に重症であったかを示すように言うレニー。
ところが、レニーのこの言葉をテディは「サミーは詐欺師だった。」という一言で転覆させる。
更に、レニー自身が、サミーが詐欺師だった事を暴いたとまで告げる。
「俺が間違っていた。」と認めたがらないレニー。
そしてレニーが「彼の女房が来て…。」と言い掛けた言葉をテディが「やつに女房はいない。」と遮った。
それからトドメを刺すように「糖尿病は君の女房だ。」と告げる。

つまりテディの話はこうだ。
レニーが復讐しようとしている相手は、昔、レニーの家に押し入った麻薬中毒のイカレ野郎で、レニーはそいつに頭を殴られて、
記憶が10分間しか保てない障害を負ってしまった。
レニーの記憶の中では、そいつは妻殺しの犯人となっているが、実際には被害は、妻への強姦とレニーの殴打とその後遺症である記憶障害で、
妻は殺されてはいない。

刑事のテディは、その男、ジョン・Gに復讐をしたいと思うレニーを認め、そしてその男を探す手伝いをしてやった。
しかし、その復讐は、もう1年も前に遂げられている。
見つけ出したジョン・Gをレニーは殺していて、
テディが撮影したその時の嬉しそうな顔のレニーの写真も残っている。
ところが、その記憶はリセットされて、レニーはまたしても犯人探しを始めた。

それでまた、レニーの事件とは無関係だが、同じイニシャルを持つジミー・グランツをレニーに犯人と思い込ませる一方で、
ジミー・グランツには麻薬の取引だと言って、この廃屋へと呼び出し、レニーに殺させてやった。

本当のレニーの妻の死因は、糖尿病を患っていた妻に、10分前にインシュリンを打った事を忘れたレニーが再びインシュリンを打ったから。
だが、その受け入れがたい事実を、レニーは、サミーとその妻の間に起こった出来事として記憶を入れ替えてしまった。
すると、自分の妻が死んだ理由が空白となるので、自分の頭を殴った麻薬中毒のイカレ野郎ジョン・Gが妻を殺したという新たな記憶を生み出したのだった。
その自分で作りだした記憶こそが真実と思い込み、復讐を目標にして、
事実から心を逸らし続ける事でしかレニーは生きられなくなっていたのだ。

最後に「ジョン・Gなんて名前は大勢いる。俺自身がジョン・Gだからな。」と自身の本名の事を口にしたテディは、
君は「嘆いているだけ。俺がすべてやった。果てる事ない夢の世界で復讐を生きる目的にしてるだけ…。」と喋り続けた。
それで、レニーに殺されそうになるが、どうにか免れる。
乗って来た車に戻ったレニーは、テディの話をすべて嘘と判断し、テディの写真の裏に「やつは嘘つきだ。信じるな。」と書き込む。
そして、テディに操られて、自身が先ほど殺した男と、1年前にジョン・Gを殺した後に撮影したという自分が嬉しそうな顔で写っている写真も燃やす。
それから、あらたなメモ「刺青:事実6 カーナンバー SG13 7IU(テディの車のナンバー)」を書き残すと、車から降り、ジミー・グランツの車に乗り換える。
と、同時にそのジミー・グランツの車をインスタントカメラで撮影する。
テディが「今、殺したやつの車に乗って行ったりしたら殺しがバレるぞ。」と注意しても聞く耳を持たない。

テディは、レニーに自分の車の鍵を草むらに放り投げられて、探すが、なかなか見つけられない。
そんなテディをほったらかしてレニーはジミー・グランツの車に乗って去ってしまう。
レニーが向かった先はエマの刺青店。



【刺青店 エマの店】
刺青師エマの店へ車でやって来たレナードは、一枚のメモに目を落とす。
そこには「刺青:事実6 カーナンバー SG13 7IU」と書かれていた。
レナードは刺青店で、そのままの文字を身体に彫ってもらう。
そこへ「よう、レニー」とカーテンを開けてテディが入って来る。

レニーとテディの間で交わされた会話は以下。
レニー「なぜ、ここに?」
テディ「車は裏に回しとけ。なぜここに?刺青屋は北にもあるだろう。」
レニー「忘れる前に入れとこうと。」
テディ「裏に回すからキーをよこせ。」
レニー「すぐに終わる。」
テディ「終わったら用がある。」

テディは出て行き、部屋の外でレニーを待っていた。
エマを追い払うと「すぐに、ここを出るぞ。」と言うテディ。
レニーには何故テディが急いでいるのかわからない。
テディは「ここはもう安全じゃない。警察が探してるから、身分証も服も車も新しく替えるんだ。」と言い聞かせる。
全く状況が飲み込めないレニーは「デカって?」と尋ねる。
テディ「悪いデカだ。君をモーテルに入れて電話をかけ続けドアの下に封筒まで。」
レニー「なぜ知ってる?」
テディ「本人に聞いた。君をからかっている。」
レニー「嘘だろ?」
テディ「電話嫌いの君に電話を掛け、出ないとドアから封筒を入れて応えさせヤクの売人ジョン・G(ジミー・グランツ)の話を吹き込んでいる。」
ジミー・グランツは麻薬の売人で、その警察官は彼の取り引きを調べていて、レニーは、その事に巻き込まれているのだとテディ。

初耳だという顔をしてレニーは「なぜ知ってる?」とテディに尋ねる。
「俺は情報屋だ。あのデカは、よその町から来ている。これがバレたら殺される。早くこれを来て、ここから出るんだ。」と言って袋に入った服を手渡すテディ。
一旦はテディのアドバイス通りにしようとしたレニーだが、
ポケットから出てきたテディの写真の裏側に「やつを信じるな」とあった事から、テディを信じず、そのまんまの服装で窓から逃げ出し、ジミーの車に乗り込む。
そして、やはりポケットの中にあったファーディーズという店のコースターに「後で来て。ナタリー」と書かれていたので、
ファーディーズへと車を走らせる。
レニーがファーディーズへ到着すると、ちょうどゴミを捨てに出ていたナタリーが、ジミーの車だったので、ジミーだと思って、名を呼び、車の窓を覗き込んだ。
すると見知らぬ男が乗っていたので、たまたま同じ車種だったのかと思い「ごめんなさい。間違えたわ。」と謝って店の中へと戻って行く。



【ファーディーズバー】
レニーが店内に入ると、カウンターの中にいた女性が彼に「何?そんな恰好で来て。」と言う。
コースターにあったナタリーという女性が、彼女だとわかり、コースターのメッセージが自分宛てのものだと思っていたレニーは、
知っていた女性だと思ったが、どうも初対面らしい。
そこでレニーは正直に、記憶がなくて覚えてないので、なぜここへ来たのかわからないと話す。
ナタリー「あなたなのね。」
レニー「知ってるのか?」
ナタリー「前に彼に聞いたわ。」
レニー「彼って?」
ナタリー「ジミー・グランツよ。知ってる?」
レニー「いいや。」
レニーは、さっき殺したジミーの事を既に忘れていたから、全く動揺もせずに、その彼女だと名乗っているナタリーと話す事が出来る。

ナタリー「彼は知ってるわ。ディスカウントにいるって。刑事も探しに来た。自分が何をしたかも知らない男は?って。そんなの山ほどいる。」
そこでレニーは「アル中も健忘症になる?」と尋ねた。
ナタリー「あなたテディ?」
レニー「レナードだ。」
ナタリーは「ジミーはどうしたの?」と聞くが、レニーは記憶がないので「知らない。」と答える。
この時、ナタリーは、目の前にいるレニーが、ジミーが話していた記憶障害の男である事を知る。
そして、ここにレニーが来た理由は、ポケットの中にあったコースターに「後で来て。ナタリー」と書かれていたからと、
ポケットから、そのコースターを出してナタリーに見せるが、ナタリーはレニーに対して、違和感と疑惑を募らせてゆく。
だが唾液入りの汚い飲み物を目の前で作って、時間が経ってからそれをレニーに運ぶと、彼が躊躇いなく、それを飲んだ事から、
彼の記憶障害が警察が言っていた通りだと確信する。


【ナタリーの家へ】
ナタリーはレニーを自宅へと連れて帰る。
レニーの記憶障害と、警察の話が一致したので、悪人ではないだろうとの判断のもとに。

「奥さん殺しの犯人を見つけるのに、どれくらい掛かるの?」とナタリーが聞いた時に、
レニーは、犯人と目ぼしき男を特定するための大量のファイルを彼女に見せた。

ナタリーはその大量のファイルを見て
「そんなに情報があるのに、なぜ警察は見つけられないの?」と不思議そうに言う。
レニーは首を振りながら「探してない。」と答える。
ナタリー「なぜ?」
レニー「存在しないと。」
レニーはナタリーに、妻が殺された夜の状況を語る。
夜中にベットの上で目覚めると、隣で寝ていた筈の妻がおらず、ドアの向こうで覆面をした男に強姦されているのを見つけた。
その男をピストルで撃ち殺したが、傍へ近づいた時に、後ろから頭を強打されて、そのまま気を失った。
「2人組だったんだ。後ろから殴られた。それが最後の記憶だ。」
警察には覚えている事をすべて話したが、信じてもらえなかったとレニー。

「暫く、ここに泊まっていいわ。」と言い残し、ナタリーは仕事に戻ると言うので、
レナードはインスタントカメラで彼女を撮影し、名前を聞いて写真の下へそれをかき込む。

ところがナタリーはすぐに帰って来た。
理由は、ドットという男が、ジミーの金をナタリーが取ったと誤解して店に押しかけて来たから。
もちろん、ナタリーには身に覚えがない。
この時、ナタリーは話しながら、内心で企てたとある計画のために、筆記用具を全部隠す。

ジミーの金は、車のトランクに入ったままで、その事をレニーはジミーを殺す前に本人から聞いたが忘れている。
レニーに記憶がなくて、何も知らないのがお気楽そうに見えて、苛立つナタリー。

ジミーはテディという男に会いに行ったまま戻らず、大金を持ったまま消えた状態である事。
ドットはジミーの相棒で、ナタリーがハメたと疑っている事を、ナタリーはレニーに話して聞かせた。
そして彼女はレニーに聞く。
「テディって誰?」
レニーは「知らない。」と首を振る。
ナタリーは苛立ちながら、ドッドを殺して欲しいと言う。
報酬は払うというナタリーに「金で殺しなんて…」と驚くレニー。
ナタリー「じゃあ何、愛? 何なら殺すの?奥さんのためなら殺すのに?」
レニー「それは別だ。」
ナタリー「殺しは一緒よ。」
二人は口論となり、ナタリーは彼の亡き妻を罵るような言葉を吐き、レニーを怒らせてその結果、殴り飛ばされ、ナタリーは家を出て行った。
メモを残しておきたいのにペンが見つからず、焦るレニーは家中を探し回る。
ナタリーは外に止めた車の中に座って10分をやり過ごしてから、再び、家の中へ入って来る。
もう、さっきの記憶がないレニーは、自分にさっき殴られて出来たナタリーの顔の傷を見て驚き「誰にやられた?」と尋ねる。
「ドッドに殴られた。あなたがドットにテディの話をして来いと言うからこうなった」と、ナタリーは嘘をつく。
乗せられたレニーはナタリーの術中にハマる。
「ドットの所へ行き、私はジミーのお金も麻薬も持ってない。きっとテディが盗ったって言ったの。でも信じなかった。
明日までにヤクを持って来ないと殺すって。」と、ナタリーがそこまで話したところで、レニーは、ドットを痛めつけに行く気になった。
この時、ナタリーが、さも心配するようなフリで「殺されるわ、レニー」と言って名を呼んだ。
それが死んだ女房と同じ呼び方だと言って、口では「イヤだった。」と言いつつも気を良くしたレニー。
…というわけで人相と居場所を教わり、ナタリーの書いたメモを持ちドットに会いに行くレニー。
ところが、車に乗り込むと、先にテディが乗って待っていた。
「誰だ!」と驚き、思わずテッドに掴みかかるレニーだった。


【テディのアドバイス】
男はテディだと名乗り、その証拠に、サミーの話を知っていると告げた。
テディは、レニーに「君の仕事はほぼ終わった。後はナタリーだけだ。」と言うが、
レニーは既にナタリーが誰なのか忘れている。
写真を見てナタリーを確認するレニー。
「その女は信用出来んからメモしておけ。」とテディに言われる。
この時のテディの読みは当たっていたが、
レニーは、先に撮影したテディの写真の裏に「やつは嘘つきだ。信じるな。」と書いてあったので聞き流した。
レニーは、今、乗っているジャガーや、今、着ている服が、さっき殺したジミーのものだという事を忘れて、
「妻の死亡保険金で買った。」という新しい記憶を作り出していた。
テディが、レニーに構い続けるのは、彼の事が心配だからではなくて、
このまま殺したジミーの服や車でうろつかれると、自分がしていた後ろ暗い犯行も表沙汰になってしまうと予見していたからだ。
「ナタリーの家には戻らず、町外れのモーテルに泊まれ。」とアドバイスしてコースターにモーテルの名前を書いて、テディは車から降りて去った。
自分の部屋が要ると考えたレニーは、この最後のアドバイスだけは聞き入れる事にして、そのモーテル「ディスカウントイン」へと向かう。


【ディスカウントイン】
ホテル、ディスカウントインに到着すると、レニーはまず、ホテルの看板を写真撮影した。
ホテルの304号室にチェックインしてから、捜査(?)体制を整えるべく、考察地図図面を壁に張り、先ほど撮影したこのホテルの写真も、
そのしかるべき位置に貼り付けた。
それからデートクラブへ電話して金髪の女の子の派遣を頼む。
女性が来たら、レニーは彼女に、妙な頼み事をする。
「俺が眠りについたら、トイレのドアを開け閉めしてバタンと音を立てて。」
そして、妻の遺品を彼女に手渡して「これを君の物みたいに部屋に散らばらせて置いて。」と。

夜中にレニーが眠っているのを確認し、女性は指示通りに部屋中に、預かったヘアブラシや本などの小物を置き、
トイレの戸をわざと音を立てて開け閉めした。
薄闇の中で目が醒めたレニーは、辺りを見回す。
そこかしこに置かれた妻の持ち物を見て、そこがホテルであるのも忘れ、自宅で、まだ妻は生きていると錯覚して、起き上がる。
これはレニーにとって、あの忌まわしい日の再現であった。
トイレのドアの向こうに人の気配を感じて、そこにあの日の犯人と妻の光景があると思い込みドアを開ける。
だが、そこには、金髪の女がいて、ただ麻薬を吸引していただけだった。
むろん、この時のレニーは、これが自分の考えに寄る演出であった事も忘れていた。
現実に引き戻されて「出て行ってくれ。」と女に告げた。


★リアルの話の流れの途中であるが、過去の出来事が挿入される。(回想ではない)
ホテルの一室で《事実5:麻薬入手の手段》と書かれたメモを持ち電話で話すレニー。
「車に大量の麻薬。やつは中毒で買う金が目当てだったと言うが、あんなに車にあって、なぜ家へ押し込む?」
資料を見て、その男は売人だったと気付くレニー。
そこで、メモの“麻薬入手の手段”を消して“麻薬の売人”と書き換える。
そして「少し見えた。」と言って電話を切る。(この種の過去のレニーの犯人追跡の様子は、断片的に現代進行中のストーリーの要所・要所に挟みこまれる。)☆


【妻の遺品との別れ】
夜中ではあるが、妻の遺品を持ち、ディスカウントインから、ジミーのジャガーに乗り出掛ける。
そして、ブロックの断片が建つ空き地で降りると、持って来た妻の遺品を燃やす。
それらを使っていた時の妻の記憶が、いちいち頭の中をよぎって行く。
そのまま、この場所で夜を明かし、レニーは再びジミーの車に乗って、走り出す。


【ドットの襲撃】
道路を走行中、後ろからクラクションを鳴らして追って来る車があり「知ってるやつだろうか?…そうみたいだが…。」と思っていると、
ピストルで襲撃して来た。
レニーは車を降りて逃げる。
逃げながら、追われているのか追っているのか混乱してわからなくなる。
相手がピストルで銃撃して来るので一周回って、またジャガーに戻り発進した。
そのまま車で暫く逃げて、ポケットを探り、あの男が誰なのかを考える。
メモが出てきた。「ドット、白人 5番通りのクレスト・イン」どうも、この人物のようだと思い、そのモーテルの部屋へ先回りする。
ところが、6号室へ行くべきところを間違えて9号室へ。
無関係のな9号室の男を蹴り飛ばして気絶させてしまった。


【先回り】
6号室へ行くとドアに鍵が掛かっておらず、中へ侵入する事が出来た。
部屋にあった空き瓶を武器にしてトイレで待ち伏せするが、待っている間に、ここにいる理由を忘れてシャワーを浴び始める。
そこに帰って来たドットがトイレ兼浴室のドアを開け…その気配に振り向いたレナードが先にドットに飛びかかる。
ドットを何発か殴りつけた後、さっきトイレのタンクの上に置いた空き瓶に目が行って、それで素早く頭を殴りつけるとドットは気絶した。
その間に鞄からガムテープを出して後ろでに両手を留め、口にもガムテープを貼りつける。

そして部屋のクローゼットへドットを運び、インスタントカメラで彼を撮影して、メモに従いテディに連絡を取った。
メモには「ナンシーのためにドットを消せ。」とも書いていた。
留守電になっていたので「クレスト・イン6号室にいる。レナードだ。来てくれ。」と伝言を残した。
テディを待っているうちに眠ってしまい目覚めたら全部忘れていた。
どこにいるのかわからず、モーテルである事だけはわかった。
引き出しには聖書とピストル。
クローゼットの中には口と手を拘束された男。
誰かが表からドアをノックしている。
覗き穴から顔を見て、ポケットの中の写真と照合しテディという男だとわかる。
自分が電話で呼んだ事を忘れていて「用は?」と聞く。
その時、クローゼットから呻き声が聞こえて来て、誰だからわからないので、口のガムテープを外して名前を聞く。
男は「ドッドだ。」と答えた。
レニーが続けて「誰がこんな目に遭わせた?」と尋ねると「おまえだ。」と答えた。
ピストルを突き付けて、ドッドの車で町はずれまで運転させて解放した。
帰りは、後ろからついて来たテディの車に乗りナタリーの家へ行く。


【ナタリーの話】
レニーがドットの写真を見せて事情を聞くと「片付いたのね。」とナタリー。
「俺に殺しを依頼したのか!?」と興奮するレニーを宥めながら、ナタリーは
「ドッドという男に殺されそうになって、あなたに助けを求めたら、あなたが協力してくれると言ったのよ。」
と話した。
それからナタリーは「恋人のジミーがテディという男に会いに行って戻って来ない。」と話した。
そして、ナタリーは、レニーの妻殺しジョン・Gを探すのを手伝うと申し出る。
その夜レニーはナタリーの家に泊まる。
夜半過ぎ、ナタリーが眠ってから、寝付けないでいたレニーは家の中をうろついた。
すると、ナタリーが恋人らしき男と写っている写真を発見するが、その男が自分が殺した人間だとは気付かず、
ナタリーの写真の下に「彼女も恋人を亡くし憐みで協力を。」と書き込む。

翌朝、ナタリーの隣で目覚める。
もちろんナタリーは再び初対面の女になっているが、レニーはわざと馴れ馴れしく接する。
ナタリーが台所に立った隙に手掛かりを求めてポケットのインスタントカメラで撮った写真を全部出して、
彼女の名前と、自分との関係性を紐解く。
ジョン・Gのカーナンバーを調べて後ほど電話すると言うナタリーに、服を身に着けながら「電話は苦手だから会う約束をしてくれ。」と言うレニー。
午後1時にダイナーで再び会う約束をして(ナタリーがそう紙に書きつけて渡す。)レニーはナタリーの家を後にした。


【記録は記憶に勝るという持論】
ジミーのジャガーに乗って発車させようとしたところにテディが来た。
テディが「昼飯をおごる。」と言って一緒に食事。
食事をしながら、またお決まりの質問をする。
「サミーの話はしたか?」
「もう耳にタコだ。」と答えたテディは「ジョン・Gはまだこの町にいるのか?」と尋ね返す。
そしてテディからのアドバイスは「先日、君はハメられて無関係な人間を殺しそうになっていた。気を付けろ。」
テディに「メモだけの人生は無理だ。」と言われても、レニーの考えが変わる事はない。
「テディの言うようにメモなんかアテにならないのはわかっているが、
記憶はそれ以上にアテにならない。目撃者の証言もアテにならない。
だからこそ記憶など頼らず、警察がするようにメモを取り事実を集め結論を出すという方法がベストだからそうしている。」と反論する。
記録は記憶に勝るというのが、もっぱらのレニーの持論だった。
「本気でその男を?」テディが、すっとぼけてまた聞いた。
「妻を殺し、俺の人生を奪ったやつだ。」とレニーは答える。
後半は正解で前半は改変されたレニーの記憶に、テディは溜息をつく。


【ナタリーの情報】
テディに宿泊先を聞かれて「ディスカウントイン」と答えるが、部屋の鍵を持っていない事に気付き、ディスカウントインへと戻る。
フロントの男に「部屋の鍵がない。」と言った結果、現在は2部屋を借りている事が発覚。
ホテルの経営者にも、記憶が保持出来ない事を利用されていた事を知る。
フロントの男は経営者よりはまだマシで、この時「レナード、必ず領収書は貰え。」とアドバイスをくれた。
メモしようとポケットに手を入れると、ナタリーとの約束の時間と場所のメモが出てきた。
そっちの方が重要とばかりに、ルームキーの事は忘れて、慌てて約束の場所へ向かう。

約束のレストランに入る前に、写真とメモで彼女との関係性を復習する。
先に来て待っていたナタリーがレニーを見つけてくれた。
ナタリーは、レニーが刺青として彫り込んでいた車のナンバー「刺青:事実6 SG13」の持ち主を調べてきたと言う。
「車の持ち主はジョン・ギャメル。ジョン・Gよ。」それはテディの本名だ。
当然の事ながら、テディの車なので、持ち主はテディである。

ホテルの部屋の鍵を「私の家に忘れていたわ。」と言って手渡しナタリーは出て行った。
その後、レニーはナタリーが持って来た免許証のコピー入りの封筒を持ち、車に乗ってねぐらのディスカウントインへ向かう。


【テディ、こいつが犯人だ!】
部屋に入って、ポケットにあった写真を壁に貼った考察図の所定の位置に戻してから、免許証のコピー入りの封筒を開けた。
免許書の氏名はジョン・ギャメル。
その写真は、つい今、壁に貼り戻したテディだ。
テディの写真の裏側には「やつの嘘を信じるな。」のメモ書き。
レニーはテディに電話を掛けた。

妻殺しの犯人の名前ジョン・Gと、テディの本名であるジョン・ギャメルの一致。
事実6はテディのカーナンバー。
事実1:男性。
事実2:白人。
これらの情報からレニーは、妻殺しの犯人はテディであるという判断に至る。
だからテディの写真の下に新たに「やつが犯人だ。殺せ。」と書き加える。
そしてレニーは、その写真とピストルを持ち、ホテルのフロントへ行く。
フロント係と話していると、テディがやって来た。


【ラストシーン】
二人は連れ立って、今やレニーがマイカーと呼ぶジミーのジャガーに乗って出て行く。
行き先は、ジミーを殺害した工場跡地。
ナタリーが、人目に付かないとの理由でそこを推薦したからだが、もうレニーはそんな理由も覚えていない。
レニーは中に入って、またポケットの中からテディの写真を出して、下に書いた言葉を読む。
「やっと見つけた。」そう呟いた時、後ろから入って来たテディ。
「手掛かりは?ないだろうな。」そう言いながらテディが真後ろへ来た時、レニーは振り向いてテディを殴りつけて、
床に捻じ伏せピストルを向ける。
「おまえの頭を撃ち抜く前に女房に許しを乞え!」と叫ぶレニー。
テディは、レニーの迷走ぶりをわからせるために「俺と一緒に地下室へ行こう。」と言うが、
レニーは聞く耳を持たずに、テディを撃ち殺した。

そしていつものようにインスタントカメラで遺体を撮影するのだった。

《終わり》