韓国映画 殺人の疑惑 ネタバレ・あらすじ・感想 | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

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映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

韓国映画のご紹介です。

韓国映画 殺人の疑惑 ネタバレ・あらすじ・感想



映画  概要



2013年の韓国映画。
原題:BLOOD AND TIES(血とネクタイ)
監督:グク・ドンスク
脚本:グク・ドンスク
主演:ソン・イェジン
ジャンル:サスペンス
上映時間:95分

韓国映画 殺人の疑惑 ネタバレ・あらすじ



大学院を卒業し、新聞記者になろうと就職活動中の若い女性ダウン( ソン・イェジン )。
ダウンは、
男手一つで、愛情を注ぎ育ててくれた真面目で優しい父、スンマン( キム・ガプス)と二人暮らしでした。
父子家庭でも、ダウンがさほど寂しい思いをせずに成長してこられたのは、
ひとえに、幼少の頃より「俺の命」と呼んで、
精一杯に可愛がって養育してくれた父のお陰だと思ってきました。
貧しくても、温かい人柄で、働き者で、どんな雑用も黙ってコツコツとこなす父は、
ダウンの掛け替えのない家族で、自慢の父でした。

最近メディアでよく目にするある話題。
それは15年前に起こった残忍な「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」が、もうすぐ時効を迎えるという話題でした。
身代金目当ての誘拐事件で、
犯人に大金が受け渡された後で、誘拐された男の子の遺体が川から見つかったという卑劣な事件でした。
記者を志望しているダウンとしても、それは、とても気掛かりな未解決事件でした。

そんなある日、ダウンは友人のキム・ジェギュン(イ・ギュハン/警察官志望)とボラ( チョ・アン)と一緒に映画を見に行きます。
記者や警察官を志望している者ならば、見ておいた方が良いとされる例の「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」を追跡したドキュメンタリー映画です。

この映画の最後に、犯人の男が、両親へ身代金を要求するために掛けてきた電話の声が公開されます。
この声は、警察が殺人者の身元を知る唯一の手がかりとなっていました。

その声が、喋り方も含め、あまりにもダウンの父親の声に似ていた事から、内心ダウンは言い知れぬ不安に襲われます。
犯人の声の中に、ダウンの父がよく使う「最後まで絶対に諦めるな!」
というフレーズがあったので尚更です。
でもダウンはすぐに《そんな筈あるわけない!!》と思いなおします。
誰よりも優しく真面目な性格の父に、そんな事が出来るとは到底思えないからです。
しかし、犯人の声がダウンの父親に似てると思ったのは友達のボラも同じだったらしく、映画からの帰り道で、ボラにその事を言われて、
ダウンは気分を害して、2人から離れて、先に家へ帰って来てしまいました。

疑いたくなくても、その事が気になって仕方のないダウンは、ネットで「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」を検索して調べます。
すると…映画で公開されていたあの犯人の声がネット上でも公開されており
再び、その声を聞きます。
何度聞いても、父の声にそっくりなのですが、
自分の父に殺人の疑いを持った罪悪感もあり、すっかり元気を無くしてしまうのでした。

「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」の時効が成立するまで残り10日と迫っていました。
それゆえに警察は犯人の声を一般公開して、広く市民に心当たりの情報を募っていたのです。
映画を見て以来、ダウンはノイローゼ気味でした。
それでも、なんとか前向きになろうとして、ボラと仲直りし、ボラが自分の父親の浮気を疑った時にどんな行動を取ったかを聞き、それを参考に、帰ってから父の携帯、財布、PCをチェックしてみました。
すると、PCからエロ動画のファイルが見つかります。
事件とは何ら無関係なのですが、ちょうどダウンがそうれを発見した時に、風呂上りの父が遭遇し、気まずい雰囲気になると、父は「全く心当たりがないんだ。初めからパソコンに入っていたのかな?」と見え透いた嘘をつきました。
この事は、後でボラと「お父さんも男なんだから仕方ないわよ~」と笑い話にする程度の事でしたが…。

その後も、休日に釣り道具を持って出かける父を尾行したりもしましたが、
結局、父の他者に対する思い遣りある行動や誠実な仕事ぶりを、目にする事しか出来ませんでした。

しかしその数日後、父の過去を知る男シム( イム・ヒョンジュン )の出現により、ダウンの心はますます混乱の渦の中へ巻き込まれて行くのでした。
果たして、父は、本当に、恐ろしい殺人犯ではないのでしょうか?!

韓国映画 殺人の疑惑 感想


最後の方でわかるんだけど、これ、完全に「隠れサイコパス」の映画です。

普段は違和感なく社会の中に溶け込んで、ちゃんと、世の中のルールを守って生きて行けるから、周囲の人は、彼がサイコパスである事を全く気付かない。
ところが、彼の中で唯一、絶対的に大切なものである一人娘ダウン。
彼の頭の中ではすべてが、この娘への愛情中心に回って行き、
その他のものはすべてぶっ飛んでも、娘と自分の暮らしが守れればそれでいいという事になっている。
この彼の絶対的世界観の中では善悪の軸もズレていて、
この世界観の中で顕著に、人の気持ちや立場に立って考える事が出来ないというサイコパスの行動の特徴が出てしまっているんでしょう。

サイコパスっていうのは、脳の働き方の細かい部分で、普通の人と違うところがありますが、精神病というには微細な違いとされ「精神病質」と言われています。
「精神病質」と字ズラで見ると、なんか凄い大変な状況みたく感じますが、
大抵の人は、社会に溶け込んで問題なくやってゆけるそうです。
でも、たまたま、いくつかの必要条件が揃い、その人が本質の中に持つサイコ気質が、世に放たれてしまった最悪の場合には、殺人という事象に発展してしまう場合もあります。

サイコパスとサイコキラーについて、もう少し詳しくは【映画メモ】サイコキラーとシリアルキラーの違いの記事の冒頭で説明していますので、良かったら読んでみて下さい。

で、この映画の感想に話を戻しますが、
構成や演出など、とても良く出来た映画だとは思うのです。
しかしながら、イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件が、現実に韓国で起こった痛ましい未解決の誘拐殺人事件であると聞きますと、その事件を題材にして作られた映画を観て楽しむ事自体に、罪の意識を感じてしまいます。
(サイコパスでないならば、誰でもそうではないでしょうか?)