映画 美しき諍い女 ネタバレ・あらすじ・感想・キャスト | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

映画ネタバレ~洋画のご紹介です。

映画 美しき諍い女 ネタバレ・あらすじ・感想・キャスト



映画 美しき諍い女 概要



1991年公開のフランス映画(日本公開は1992年)
監督:ジャック・リヴェット
脚本:パスカル・ポニツェール/クリスティーヌ・ロラン/ジャック・リヴェット
原作:オノレ・ド・バルザックの短編小説『知られざる傑作』
主演:エマニュエル・ベアール
ジャンル:古典文学
上映時間:238分

タイトルから「中国の後宮もの?」と錯覚しそうになる人もいるかと思われるが、それとは全く無縁のフランス映画である。
フレンホーフェルの描画シーンでは、実在する画家ベルナール・デュフールのカンバスへのタッチを、編集せずに長回しで撮影している。


映画 美しき諍い女 ネタバレ・あらすじ



初夏を迎えた避暑地プロヴァンス。
7月上旬の月曜日。午後3時から4時の間。
緑に囲まれたとあるオープンカフェで、
マリアンヌ(エマニュエル・ベアール)は、恋人の若い画家ニコラ(ダヴィッド・バースタイン)と、諍いをする寸劇を演じて戯れていた。
周囲の客達は、行きずりの見知らぬ2人の揉め事であるかのように見ていたが、
2人にとっては、緊張をほぐすための、ちょっとした遊びに過ぎなかった。
この後ニコラは、仕事上で、とても大切な人の家への訪問を控えていたのだ。


この日、ニコラが知り合いの画商ポルビュス(ジル・アルボナ)の仲介を得て、マリアンヌ同伴で訪れたのは、
高名な老画家フレンホーフェル(ミシェル・ピコリ)の自宅であった。
坂の上に立つ古城で、フレンホーフェルの妻リズ(ジェーン・バーキン)が、気さくに出迎えてくれた。


室内も庭も見事な住まいをザッと見学後、フレンホーフェルの仕事場を見せてもらう。
元々は納屋だった場所を改装したのだと言う。
だが、フレンホーフェルは長い間、絵を描いておらず、この場所へは来ていなかったと話した。
絵を見せてもらって学びたいという思いがあったニコラは、何枚かの絵を見せてもらった。
デッサン画も何枚かあったが、ニコラが素晴らしいと思う絵も、本人は納得していない様子であった。
フレンホーフェルが最後に口にした未完のまま長い間打ち捨てていた「美しき諍い女」をニコラは見たがったが、
フレンホーフェルは未完である事を理由に見せようとはしなかった。

「美しき諍い女」とは17世紀にいた高級娼婦カトリーヌ・レスコーの通称であり、彼女の生涯を書いた本を読みイマジネーションを刺激されたフレンホーフェルは、急にその女を描きたくなったのだと話した。
そこまで話しておきながら、彼は、その絵を見せる事は頑なに拒んだ。

5人でテーブルを囲み食事の時間となった。
デザートの時間にポルビュスが飲み過ぎて突然、気絶するというアクシデントがあったものの、マリアンヌはリズとも打ち解け互いの夢や恋の末路の話などを少し語った。
この時、文学をやっているマリアンヌは上昇志向が強い一面を見せる。
リズは偏固なフレンホーフェルとの暮らしに妥協しながら、夢を半ば諦めて暮らしているのだと話した。
上り坂と下り坂の2人の女の対比は、太陽に照らされて立つ木の葉が作り出す影と陽なたの文様のようだ。

一方、3人の男達はアトリエで再び酒盛りを始めた。
創作に対する拘りが強いフレンホーフェルは「創作を再開すべきでは?」と言うポルビュスに
「どうせ描くなら傑作しか描きたくない。」と話す。
「美しき諍い女」に未練を残すフレンホーフェルだが、モデルがリズだったので、年齢的な事から、もうモデルとしては使えないと思っていた。
「マリアンヌなら描けるのでは?」
ポルビュスの勧めもあり、
フレンホーフェルはマリアンヌをモデルにする事で、『美しき諍い女』の製作を再開する気になる。


ニコラがマリアンヌの気持ちを確かめもしないで、勝手に彼女がモデルをする事を決めてしまったので、マリアンヌは非常に憤慨した。
片やマリアンヌを見て、創作意欲を刺激されたフレンホーフェルであった。
その夜、ホテルでマリアンヌはずっと不機嫌なままだった。
問題はそれがヌードのモデルであるにも関わらずニコラがマリアンヌに一言の断りもなく勝手に承諾してしまったという事。

ニコラが取り付く島もなくマリアンヌはふて寝してしまったので、最早、彼女がモデルを務める見込みはないのかとも思われた。
ところが、翌朝になるとマリアンヌはニコラがまだ眠っているうちにベッドを抜け出し、一人でフレンホーフェル宅へと向かった。

アトリエへ入ると、フレンホーフェルは、ペンと筆とインクと水を使いマリアンヌを座らせてデッサン画を描いた。
最初は着衣のままで。
次に髪を上げさせて顔のアップのデッサン。
それからヌードのデッサンへと移る。

後から訪ねて来たニコラはリズに「モデルをさせた事で彼女を失うのではないかと不安に駆られている。」と、正直な胸のうちを語る。
「マリアンヌがもし自分から離れたら、破滅だ。」とニコラは言った。

その日のモデルの時間が終了しての帰り際、また明日来るようにと、フレンホーフェルに言われて、マリアンヌは乗り気ではない。
そんなマリアンヌの気分を敏感に察したリズが、モデルを継続してくれるようにとマリアンヌに頼む。

マリアンヌにとっては、実際には、あまり意義のある役割とは思えなかったモデル体験だったが、ホテルに戻ってニコラに話す時は、彼への反発心から「面白い体験だった。今後も続ける。」と話した。
それを聞いて、今度はニコラが不機嫌になる。

翌日は、最初からヌード。
姿勢にダメ出しをしながら、フレンホーフェルは、キャンパス大の大きさの紙への描画を開始した。
さまざまなポーズをとらされて結構、疲れるマリアンヌ。
そのうちフレンホーフェルは、素人には意味不明な独り言を発し始める。
しばらくは我慢していたもののマリアンヌは「もう、うんざり」と音を上げる。
だがフレンホーフェルの要求は、止むわけもなく、あれこれと意味不明な事を言いながら、新たなポーズを取らされるマリアンヌは、おかしくなって笑い出してしまう。
この後、フレンホーフェルは気がそがれたような表情になって一旦、外へ出て行く。

そして映画は第二部(『美しき諍い女 第2部』という表示が出る。)
その後もモデルと画家が精神的に一体になるかもような創作活動が続き、開始から4日後に『美しき諍い女』は仕上がるが、
視聴者である私たちは、この絵の元々の描きかけの姿も、完成した様も、観る事が出来ない。
ただ、リズがフレンホーフェルに言った言葉からすると、リズの顔を消した部分にお尻が描かれていたらしい。

『美しき諍い女』を完成させる事によって、新作に取り組むための自らの意欲を引き出そうと考えたフレンホーフェル。
描かれる事を通じて、高揚していくマリアンヌ。
かつて自分をモデルにして描かれ挫折した絵の続きを若いマリアンヌにモデルを変えて夫が描き直している事を知り傷つくリズ。
嫉妬に苦しむニコラ。
それぞれの心理が断片的に描かれて、やがて絵は完成するのだが、何故か?フレンホーフェルは、その絵を画商のポルビュスに渡す事なくレンガを使って壁際に封じ込めてしまった。

そしてマリアンヌとニコラの恋人関係が破綻した事を暗示して、
登場人物らの、それぞれの心理に影響を与えた一夏の避暑地での4日間の出来事として映画は終わる。

映画 美しき諍い女 感想



「いきなりエンディング?」と思うような、黒画面に字幕で書かれたタイトルやキャストの紹介から始まる。
流れるBGMはイーゴリ・ストラヴィンスキーのアップテンポな緊迫感をそそる交響曲。

ストーリーらしいストーリーはなく長回しシーンが多いので観るのに、かなり根気がいるが、お洒落な映画。
世界的に禁煙が良しとされる現代とは違い、昔の映画には女性の喫煙シーンが多いが、この映画でもマリアンヌが煙草を吸うシーンが時折、出て来くる。
昔は、煙草=お洒落女性のアイテムという観念でもあったのかな?

老画家の描くデッサンは、全く写実的ではない。
デッサンの基礎を学んだ人の描き方でもない。(当ブログの管理人は一応デッサンの基礎を学んでおります。)
描いているというよりは、紙を汚しているようにも見える。
おそらく、映画の中で行われるこの画家のデッサンは、絵を描くという行為そのものではなくて、
イメージを掴むための脳トレ的作業ではないかしらん?と思われる。
キャンパスに描く前段階として、このプロセスは必要なのだろう。
彼女をアトリエに招き入れるシーンから、ずっと長回しで撮影されるモデルと画家の描画シーンは、正直かなり退屈で寝てしまいそうになる。

マリアンヌのお尻が、こんもりと大きくて、特に尻フェチというわけではなくても、画家であれば、素材として、ちょっと惹かれるかも。


映画 美しき諍い女 キャスト



作家志望の女性…マリアンヌ(エマニュエル・ベアール)
若い画家でマリアンヌの恋人…ニコラ(ダヴィッド・バースタイン)
フレンホーフェルとリズ夫妻の昔馴染みの画商…ポルビュス(ジル・アルボナ)
老画家…フレンホーフェル(ミシェル・ピコリ)
フレンホーフェルの年下の妻…リズ(ジェーン・バーキン)
ニコラの妹…ジュリエンヌ(マリアンヌ・ドニクール)
ポルビュスの家のお手伝いさん…フランソワーズ(マリー=クロード・ロジェ)
フランソワーズの娘…マガリ(マリー・ベリュック)