素晴らしい連続ドラマというのは、キャストも1人1人見事に配役されているもので、今回の「JIN-仁-」は、その最たる例と言えます…
特に「JIN」を名作たらしめた最強カルテット、
仁―大沢たかお
咲―綾瀬はるか
龍馬―内野聖陽
野風、未来―中谷美紀
の名演技は深く心に残るものでした…
まず大沢たかお…
今回が藤原紀香と共演した「昔の男」以来8年ぶりの連ドラ出演…
この人の出た連続ドラマというと、やはり「星の金貨」の印象が強烈に残っていて、煮え切らない二枚目っていうイメージがずっとありました。
古い…(汗)
映画の「解夏」や「地下鉄に乗って」「世界の中心で愛をさけぶ」とかも見ましたが…
正直特別、いい役者ともうまい役者とも思ったことはありませんでした…
しかし、今回の仁を見て、役者として格段に成長していることに驚かされました…
あえて連続ドラマではブランクのあった大沢の起用は見事功を奏したと思います…
とにかく肩に力の入らない自然体の演技に感心しました…
境遇の激変を気負って演じて、わざとらしくなることなく、抑えるところは抑えて演じリアルさを失わなかったのが良かったです…。
この人独特の透明感が、仁のピュアさ、ひたむきさによく合っていましたしね…
あとナレーションも良かった…いい声ですよね、この人の声って。
大沢たかおにとってかけがえのない当たり役になりましたね。
これからは「JIN」の大沢たかおと呼ばれることでしょう…
続いて坂本龍馬役の内野聖陽。
記事にも書きましたが、私めはこれまでこの人の演技がどうも苦手で…
「不機嫌なジーン」はリタイアしちゃったし、
「ゴンゾウ」や「臨場」も見てなかったんです…
なんか舞台俳優ならではのクサさみたいなものが鼻について…
(_´Д`)ノ~~
しかし、この龍馬はどんなに濃い演技をしても、龍馬という人物の破天荒さに内野の演技がフィットして、坂本龍馬ってこんな人だったのでは?と思わせるほどでした。
役作りのため高知の人たちと酒を何度も飲み、生きた土佐弁を身に付けたという努力が見事にいかされていました。
男の器量をテーマにした回がありましたが、歴史に名の残る人物ってこういう人なんだろうな…とうなずけるスケールの大きさでした。
しかも、豪快なようで時折ナイーブさをのぞかせるあたりの自在さも、役者としての技量の高さをのぞかせました…
続いて咲の綾瀬はるか。
こちらもまさに適役。綾瀬はるかという女優の良さが、最大限に出た役でした。
現代にはとてもいそうもない、純粋さ、一途さ、折り目正しさ、つつましさ、けなげさ…
(…しつこい?)
同性から見ても応援したくなる女性像を、まさに体現していたと思います…
私めが綾瀬はるかファンだからでなく、今回の綾瀬はるかを誉めない人はいないとさえ、私めは思ってます!
また咲の仁に言うセリフが毎回素晴らしかったですね…
最終回の「水」のセリフも実に良かった…
いや~
また見たいな~
綾瀬はるかの咲。
そして野風、未来2役の中谷美紀。
最初、中谷美紀がおいらん役ってどうなんだろう?と懸念しましたが、どうしてどうして見事においらんになりきってましたね。
この人も活躍の場は映画で「嫌われ松子の一生」とか良い作品が多いのですが、連続ドラマでこれって代表作は「ケイゾク」くらいですよね…
今回は吉原から一歩も出られない女の哀しみを、あますなく演じて、心打たれるシーンが数多くありました!
ナンバーワン1のおいらんになるくらいの女性は、知的で高い教養を身に付けていたそうですが、まさにそういう知性や人を見きわめる目を感じさせましたね…
おいらんが使う独特の言葉も難しかったと思いますが、違和感なく自分のものにしてましたね…
最終回の別れのシーンの
「おさらばえ~」とか耳に残ってます。この人の声も魅力的ですよね…
さて以上4人の他にも、
小出恵介の咲の兄恭太郎の凡人としての苦悩も良かったし…
麻生祐未の母の厳しさの中に優しさを垣間見せる演技も良かったですね…
さらに忘れてはならないのが武田鉄矢の緒方洪庵。
亡くなる回の仁と2人のシーンは、再放送で見てもまた泣けてしまいました。
武田鉄矢独特の説教くささが無くて、抑えた演技に終始して脇をしっかり固めてくれました。
他にも、
六平直政と水沢アキの鈴屋の主人夫婦、
小日向文世の勝海舟、
高岡早紀の野風の先輩おいらん、
田口浩正、桐谷健太ら医学所の弟子たち、
石丸謙二郎のヤマサ主人、
脇に出た1人1人が、全くミスキャストがなかったのも素晴らしかったと思います!