私めが毎年好きでよく見ているドキュメンタリー番組に「プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達」という番組があります。
それは球団から戦力外通告と呼ばれる「クビ」を宣告された選手が、現役を続けたいがために、家族に支えられながら必死であがく姿を追ったものです。
なぜ、その番組が好きかと言えば、クビになって初めて自分がいかに野球が好きで野球一筋で生きてきたかを思い知らされる選手たちの、生々しい思いが描かれているからなんです。
まだ自分ではやれると思っているのに、どこも必要としてくれないと分かった時の落胆、
第2の人生に踏み出すための決意、
人生の局面に立たされた彼らの行動は、とてもドラマチックなんですね。
そのドキュメンタリーにこのドラマは似てるな…と今回見て気がつきました。
NHK 土曜21時
「君たちに明日はない」第3話
主演―坂口憲二
脚本―宅間孝行
演出―榎戸崇泰
なぜ、そう思ったかと言うと、今回はリストラ宣告する主人公の真介(坂口憲二)より、面接される倉橋(内山理名)目線で描かれるシーンがこれまで以上に多かったからかもしれません。
「2億円の女」というサブタイトルどおり、百貨店の個人外商で2億円の売り上げをあげる倉橋。当然会社としては絶対辞めてほしくない社員。だったらリストラ面接しなければいいのに形式上やってしまったら…
予想外に「だったら辞めます!」と即答。
なぜ、そんなことになってしまったかといえば、売り上げを伸ばしていた当初は面白かったけど、今ではノルマを達成するためだけの数字に追われる日々。
仕事漬けの毎日で彼氏はできず…
唯一優しく接してくれる同僚の鳴沢(袴田吉彦)は結婚が決まってしまう…
社内ですれ違い、久しぶりに見初めた男は、なんとリストラ宣告の面接官…
それで尽くしてきた会社からクビって言われれば、だったら辞めてやるよ!って気にもなりますよね…
何のために働いてきたんだろう?
そもそも自分は何がしたくてこの百貨店に入ったんだろう?
クビを宣告されて初めて彼女は考えるわけです。
そして彼女が出した結論は、最初からやりたかった売り場に出てお客様の笑顔に接する仕事をすること。会社は辞めず、部署の異動を希望し、それが叶ったのです。
まぁ、倉橋の場合は平和な解決だったけど、真介がリストラを宣告した中には、自殺してしまった人もいるわけです。
遺族には恨まれ、焼香も許されない…
そんな痛みを経て今も続けている真介は、いまだに自分の仕事はこれで良いのか?という疑問があります。
社長(堺正章)は至ってクールに死を選ぶ者が出ても仕方がないと言うのですが…
企業の人事部でリストラを担当し、ストレスで体を壊す人が多いって話を聞きますが、人の一生を左右するって重く苦しい役割ですよね。
そのへんの主人公の痛みもちゃんと描かれているので、このドラマ、リアルなんだと思います。
真介に口説かれ、まんざらでもなくなりつつある陽子(田中美佐子)が、妹の指摘するように、ちょっと若返って綺麗に見えるようになっているのも…またリアルでした。
さすが田中美佐子。実生活でも年下の夫がいるだけのことはあります!
今回の評価は…
視聴率が低いのが、ホント残念です…
( ̄▽ ̄;)