改めて太賀のスゴさを知る…「15歳の志願兵」 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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夏になると必ず何本かはある戦争にまつわるドラマ。




今年は大型スペシャルドラマとしての「歸國」と、これでした。





NHK 15日21時
「15歳の志願兵」



主演―池松壮亮
脚本―大森寿美男
演出―川野秀昭





夏クールではなかなか感動できるドラマがなくて、不満ぎみだったので…





久々に感動できました!
実話を基にしたドラマならではのずしりと心に響く重みがありました。





愛知一中という愛知県下きっての進学校が舞台。





そこに海軍から47人の生徒を志願兵として差しだして欲しいという…割り当てともいえる要求がくる。





めちゃくちゃな話ですが、「非国民」と見なされるのを恐れるあまり、校長(竜雷太)はじめ教師は志願兵を募集し、それでも足りないと時局講演会を開き、志願するようあおるのです。




ひどい話ですよね…
しかし、この学校は優秀な生徒が多いだけに、その人材を戦場に差し出すのに難色を示す教師もいるわけです。





主人公(池松壮亮)の父(高橋克典)もその1人。





ところが、校長やOBの将校(福士誠治→こういう役はピッタリ!)がアジったら、我も我もとなんと全員が志願することになるのです…





頭のいい人たちってピュアなのか、突き進んでしまうんですね…





教祖のためなら殺人も辞さなかったオウムの幹部信者が一流大学出身者ばかりだったのを、つい思い出しました。





ある種の集団狂気ですよね…戦争中の心理って。





主人公は視力が足りず、検査で落とされますが、





自分は作家になりたいんだと夢を語っていた軍人一家の息子である親友(太賀)は、結局47人にも満たなかった志願兵の1人となり、戦地へおもむき戦死してしまいます。





この太賀、「コード・ブルー」で余命わずかな母を見舞う息子を演じ、そのうまさに舌を巻いた人でしたが…





今回も凄かった!
生徒たちを前に志願すべきと訴える長いセリフの演説は、その迫力がすさまじく…





繊細にしてダイナミックな演技を見せてくれました。恐るべし!太賀。





主人公の池松壮亮も、教師の息子ゆえの気遣い、戦地へ行く友への気遣いなど、デリケートな演技を細やかに演じ、太賀に一歩もひけをとりませんでした。





この2人の好演に加え、周囲の大人たちもNHKらしい堅実なキャストで固め、非常に見ごたえのあるドラマでした。





戦後、親友の家に行き焼香する主人公に親友の母(夏川結衣)が私が無学だから息子を死なせてしまったのでしょうか?と言われ、





主人公は私たちはお国のために死ねと教えられました…学ばなかったのは国です。
という言葉が痛烈で、心に深く響きました。
単発では今年のベスト10に間違いなく入る傑作でした。