年末に放送された「坂の上の雲」の第6話から第8話を見終えたので感想を書きます。
NHK 日曜19時30分
「坂の上の雲」第6~8話
主演…本木雅弘
脚本…野沢尚ほか
演出…佐藤幹夫
まずすごかったのは何と言っても、香川照之の正岡子規ですね。
司馬遼太郎の原作も正岡子規が死んでしまうと、そのあとが寂しくなるのですが…
第7話「子規逝く」は、実に見ごたえのある回でした。
香川のその圧倒的な存在感は、「龍馬伝」の岩崎弥太郎より更にすごい感じで…
病の床に臥してなお、自分の成し遂げんとする方向へ突き進み続けようとする気迫。
雨が降って激痛にもがき苦しむさまはまさに凄まじい演技でした。
鬼気迫るとはこういう時に使う言葉なのだな…ということを知る演技でした。
まぁ香川照之のことは言わずもがななので、このへんにして、今回は第6話と第8話でフューチャーされた広瀬武夫役の藤本隆宏についてふれたいと思います。
今回、主役級の人がひしめく豪華キャストの中、重要な役に大抜擢されたこの人、
テレビドラマではなじみのない顔ですが、元劇団四季に所属し舞台を中心に活躍している人です。
実は、水泳のオリンピック代表でソウル、バルセロナと2度も出場、日本記録保持者だったこともある異色の経歴の持ち主です。
堂々たる体格で、背筋がぴんと伸び、古き良き時代の日本男児という感じの面構えは、軍人広瀬武夫にぴったりの人でした。
ロシアに滞在中はロシア人からも慕われ、ロシアの女性と恋にも落ちたという魅力溢れる人物にちゃんとなりきっていたのはお手柄です。
今後、時代劇の武将役にも起用されるのではないでしょうか?
広瀬の遺体を海中から拾い上げたロシア兵たちが、手厚く葬るシーンは感動的でした。
全体的にこのドラマは脚本も丁寧に作られ、時間とお金をたっぷりかけて制作された、贅沢な逸品という感じで文句のつけようがありません。
文句があるとするなら、完成してから一気に見せて欲しかったことぐらい。
三年越しは長すぎます。