感情豊かに怒り泣いていた「怪物くん」から一転、今度は至って無表情な防犯オタクの役。
大野智の演技力の振り幅の大きさを知らしめる作品になっています。
フジテレビ 月曜21時
「鍵のかかった部屋」第1話
主演…大野智
脚本…相沢友子
演出…松山博昭
今回大野が演じる榎本径はセキュリティ会社の社員で防犯について膨大な知識を誇る防犯オタク。
新入り弁護士の青砥(戸田恵梨香)がうっかり上司の芹沢(佐藤浩市)を閉じ込めてしまい…
その堅牢な扉の複雑な錠を解くために榎本がやってきます。
寡黙に作業をする榎本ですが、専門知識については速射砲のように早口で説明しはじめます。
何を言ってるかよく分からないほどの速さで、オタクらしさを出そうというスタッフの狙いで…
その難題を課せられ、シレッとやってみせるところに大野智という人の凄みを感じます。
榎本は密室殺人を解くために青砥に頼まれ、そのトリックを見破ってみせます。
しかし、密室殺人のトリックを解き明かしても、その先の犯人追及のための証拠には全く興味はない…という潔い変人ぶりがユニークでした。
そんな変人榎本と行動を共にする青砥と芹沢。
思い込んだらひたむきで、ついうっかりドジも踏む青砥は戸田恵梨香にピッタリで…
更に良いのが芹沢役の佐藤浩市。
企業法務が専門で、刑事裁判には興味がない芹沢は、時間をムダにするのが大嫌い。
サスペンスドラマで刑事や探偵が謎解きをもったいぶるのが許せないっていう男。
それでいて依頼人には、いい顔する調子のよさもあり、そのへんを佐藤浩市が軽妙に演じていて…
年齢を重ねたからこそ生まれた余裕のある演技は「最後から二番目の恋」の中井貴一と同様で…
榎本が「明日お話します」と言った時の「ほら出た…出ちゃったよ…」には笑いました。
大野、戸田、佐藤のトリオのアンサンブルの妙がこのドラマの武器ですね。
ただ、もったいぶった割に肝心なトリックは…ふ~んって感じで…
そんな面倒くさいこと、わざわざするかな~と思えてしまいました。
犯人はバレバレで、どう密室を作ったかがメインなので…
そこに驚きや納得感がないとキツイですね。
たとえキャストが良くでも…
今回の評価は…