いや~~~凄かった!
脚本家が「どうだ…このセリフをどうこなす?」と挑戦状を突きつけ、
演者が見事に演じきってそれに応える…
名ゼリフと名演技による真剣勝負を見ることができた素晴らしい回でした。
フジテレビ 火曜21時
「リーガル・ハイ」第9話
主演…堺雅人
脚本…古沢良太
演出…石川淳一
大手メーカーの化学工場ができたために地下水や土壌が汚染され、住民にも身体に変調をきたす者が出始めている過疎地南モンブラン市。
老人たちばかりのその住民が公害訴訟を起こそうということになり…
東京に一団がやってきて古美門(堺雅人)に依頼します。
しかし、実は工場建設の時に住民たちを説得し、建設に持ち込んだ当人が古美門で…ピシャリと断ります。
しみったれた老人は大キライというその言いぐさの憎々しいこと!
とはいえ、企業側の弁護をする三木(生瀬勝久)を沢地(小池栄子)が裏切ってくれるというのと…
元村長の妻(左時枝)が古美門の腕を見込んで多額の報酬を約束したので…
一転弁護することになった古美門。法廷でも押しまくります。
しかし、彼らは戦争とズワイガニ食べ放題付きバスツアーとの区別が全くついてない…と古美門が予測した通り…
企業側が社長自ら来て謝罪、見舞い品と10万円の商品券を渡すと…
誠意も見せてもらったから、もう穏便に和解しようとか言い出すのです…
リーダー的存在の男が三木の裏工作で懐柔されたのを暴いたのに…まだそれでいいと言う彼らに…
古美門は辛辣な言葉を浴びせかけます…
ここからの堺雅人の長~い1人芝居が圧巻でした。
これまでにも世の中が良しとするものに毒を吐いてきた古美門ですが…
今回の毒の鋭さは過疎化の進む多くの地方で、実際起きているであろうことを、見事にあぶり出して、
きれいごとで国や企業に丸め込まれ、怒りや誇りを忘れてしまった老人たちの実情への痛烈な批判になっていました。
ただがなりたてるだけでなく、心の底では正義感と人情味を実は持っていることをほのめかす…堺のデリケートな演技は絶妙でした。
村長の妻の遺言の効果もあり、再び戦うことを決める老人たちと、その意気を感じ、井戸水をぐいと飲み干す古美門の姿は感動的でしたね。
「鈴木先生」で生徒どうしのあけすけな言い争いを書いた古沢良太の真骨頂の脚本で、そこまで言わなくても…というセリフの連発でうならされました。
今回の評価は…
ラストに古美門の足を服部さん(里見浩太朗)が踏んでいるというオチはクスリとさせられましたね(笑)。
いよいよ三木と古美門のガチバトル。
しかし、古美門は三木に何をやってしまったんでしょう?