NHKならではの重厚感…渡辺謙「負けて、勝つ」 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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今や世界的な俳優である渡辺謙が大戦後の日本復興に尽力した吉田茂を演じる…ってことだけでも十分なのに…





脇をかためるメンバーも、脚本、演出もみな遺憾なく実力を発揮していてNHKらしい重厚感のある作品です。





NHK 21時
「負けて、勝つ~戦後を創った男・吉田茂」第1話



主演…吉田茂
脚本…坂元裕二
演出…柳川強





脚本は近年「Mother」「それでも、生きてゆく」と人間の深い業を描いて好調な坂元裕二。





演出は「鉄の骨」「監査法人」「刑事の現場」などで男たちの熾烈な職場を骨太かつリアルに描いた柳川強。(「セカンドバージン」もそうですが…(笑))





今勢いがあり強力な2人がタッグを組み、渡辺謙を主演に迎えたこのドラマ、





占領下、GHQと折り合いながら日本の復興に励む吉田茂の姿をじっくりと描きます。





第1話は戦時中は反戦の姿勢を見せ、投獄もされたことのある吉田茂が、同じく開戦反対だったのに戦犯になってしまい、悲嘆し自殺する近衛文麿(野村萬斎)を救おうとするも果たせない過程が丁寧に描かれました。





野村萬斎が処世術に長けていない近衛の貴族性を巧みに見せ、まさに適役。





歴史の荒波にのみこまれ翻弄される姿がよくわかりました。





閣議に乗り込んでいいようにあしらわれるシーンは中でも白眉でした。





孫である細川護煕の少年時代がチラッと見えましたが、お飾り的な首相としていいように扱われた細川も、祖父に似ていたんだな…とわかる気がしました。





また、近衛が自殺するのでは…と懸念し、帰り際近衛夫人(中嶋朋子)に注意を促すと、毅然と夫人は近衛の好きなようにさせると言うシーンも中嶋の好演で見ごたえある場面でした。





渡辺謙の吉田はデヴィッド・モース演じるマッカーサーと対峙するシーンが圧巻で天皇の戦争責任を断固否定するくだりの迫力は、スケールの大きさを改めて感じました。





映画館の大きいスクリーンで見たい感じです。





谷原章介の白洲次郎も同じNHKで演じた伊勢谷友介とはまた違って適役です。




どうも夏ドラマはスカスカな作品が多かったため、非常に堪能しました。





今後が楽しみです。





今回の評価は…7