期待通り、同じこの枠で同じ小池徹平主演だった「鉄の骨」や、「刑事の現場」のように重厚かつシビアなお仕事ドラマになっています。
脚本の宇田学はフジテレビのCSで放送した航空管制官を描いた「TOKYOコントロール」で評価を得て、
同じ題材が地上波では「TOKYOエアポート」となり、そちらにも脚本で起用された人。
緊迫する職場の群像劇に長けています。
もともと自分の劇団を持っていて
「ORANGE」という阪神大震災時の消防士を描いた作品で評価されたのがテレビの仕事のきっかけだそうですから、
消防士の群像劇とは願ったりかなったりの題材だったことでしょう。細部にわたりリアルな消防士の活動が描かれています。
NHK 土曜21時
「ボーダーライン」第1話
主演…小池徹平
脚本…宇田学
演出…石塚嘉
小池徹平演じる主人公の新人消防士川端は、出勤初日から今どきのゆとりクンにもほどがあるだろうぐらいの勤務態度。
遅刻はするわ、口ごたえするわ、あいさつはちゃんとできないわ、現場より内勤希望だったのにとぼやくわ、訓練はさぼるわ、
よく周りが我慢しきれるなぐらいの勢い。
まぁ今や消防士の世界にもいておかしくないですけどね、これだけゆとりクンが蔓延している現代では…。
しかし、この川端にはどうも何か過去にあって彼なりの考えもあるみたいなんですがね。
ただのダメ青年ではないひねくれ者ぶりを、小池徹平が自分を殺してよく演じています。意外とこういう皮肉な役で力を発揮する人ではあるんです。
自分は内勤でいいと思っていた川端は初日から火災現場に連れて行かれ…
消防隊には消火隊、救助隊、救急隊とあり、
要救助者を救出するには消火隊と救助隊の連携が不可欠なことを身を持って知ったりします。
松井救助隊小隊長(山口馬木也)のセリフにあったように命を救う側…こっち側の人間になったことを覚悟しなければならなくなるわけです。
救急隊を手伝い、呼吸停止の少女の息を吹き返させ、自分でも救えることを知る一方で、
救急隊で自分にも優しく接してくれていた伊藤(徳井優)がヤク中の男に刺される事態が発生。
その男が火を放った部屋に救助に入っても、伊藤よりその男の救助が優先されるという割り切れない処置を目の当たりにもします。
素直じゃない新人の目線で、浮かび上がってくる命を救うということの難しさ。
それを骨太にしっかりと描いてくれそうなドラマです。
このところ医者役続きの藤原紀香がここではシングルマザーの救急隊小隊長。
紀香さまオーラを殺してナチュラルに演じています。
徳井優の人の良さや、過去に傷のありげな消火小隊長の筧利夫、いろんなことを腹におさめているらしき署長の橋爪功。
脇もみな適役で堅実に固めています。
CM無しなので見終わるとグッタリしますが、オススメです。
今回の評価は…
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