早くも名作の予感…「昨夜のカレー、明日のパン」 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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実は今クール、私めの期待度№1のドラマはこの作品なんです。

これまでこのブログではBSのドラマにまでは手を広げずに来たのですが、





このドラマについては記事にしてご紹介したいと思います。

WOWOWのように加入者でなければ見られないというわけではないですからね…

ぜひ1人でも多くの方にご覧いただきたいと願ってやまない作品だからです。





NHK BSプレミアム 日曜22時

「昨夜のカレー、明日のパン」 第1話


主演…仲里依紗

脚本…木皿泉

演出…茂原雄二





私めが愛してやまない木皿泉(ご夫婦の共同ペンネームですが…)の世界が

全編匂い立つように豊かにあふれている作品です。





それもそのはず、木皿泉が書いた小説を、自ら連続ドラマとして脚色しているわけですから。





ヒロインのテツコ(仲里依紗)は7年前に病気で夫の一樹(星野源)を亡くし、

その後も一樹の父の「ギフ」(鹿賀丈史)と共に暮らしています。





冒頭の2人の朝食シーン。鍋で炊いたとてもおいしそうなご飯ができあがるのですが、

その1杯目は仏壇の一樹のもとへ。

前の日に供えていてかたまりになったご飯をギフは食べさせられます。





奇数日はギフ、偶数日はテツコが前の日のご飯を食べるという取り決めになっているようなのです。





この朝食のシーンで2人が息子と夫を亡くした痛みを、

そうして毎日分け合って暮らしてきたということを、実にさりげなく表現する。

脚本のうまさを冒頭から感じさせます。







木皿泉のドラマではさりげない言葉ながら深い含蓄のあるセリフが

必ず出てくるのですが、





今回、最も印象的だったのは、

テツコの隣に住む元CAで、笑えなくなり、今は家に引きこもりになってしまった

ムムム(ミムラ)が夜中、自販機のそばにたたずんでいて彼女に言うことば…





「分かります。みんな『前に進め』って言うけど、とどまるのってそんなにダメなことなのかな…

 まだ前になんて行きたくないのさ」





今のままじゃダメなのかもしれない…

でもだからって、簡単に前に進められるってわけじゃない…






それはテツコもムムムも一緒。

悲しみや苦しみから抜け出せないでいる…






「とどまる」ってダメなことなのか?

これはとても切なく、ほろ苦く、かつ優しさやいたわりを感じさせる問いかけです。






テツコの同僚の岩井さん(溝端淳平)はいたって普通の考えの持ち主で、

岩井さんには、テツコの考えは理解してもらえないのです。






テツコを演じる仲里依紗の芯の強さ、ムムムを演じるミムラのCA時代の笑顔との落差、

岩井さんを演じる溝端の脱力感たっぷりのナチャラルさ、

それぞれが適役で愛すべき人物になっています。







今回のドラマでは、食べ物が非常に印象的な小道具として使われていて、

冒頭のご飯もそうでしたし、葬式のあと悲しくても食べた具の無いインスタントラーメン、

ふたりで新聞紙を切ったあとに食べるシュウマイ、






そして最も心に残ったのが、一樹の病院からの帰り道に開いていたパン屋で買った

焼きたてのパン。





あったかくて生きているネコみたいだと、袋を交互に抱えるギフとテツコ。

2人のやりきれなさをパンが癒してくれるという名シーンだと思いました。






一樹を演じているのが実際に闘病中の星野源だけに、

回想シーンで登場すると胸がしめつけられます。






そして、エンドに流れるのがプリプリの名曲「M」

こりゃ反則です。

泣けてしまいます…





今回の評価は…4



この先、5が出る可能性のある作品です。

ぜひご覧ください。優しい気持ちになれます。