これまでクリスマスや大晦日、正月といったイベントをうまくストーリーにからませて描いてきたこのドラマですが、
今回は依子(杏)と巧(長谷川博己)の結納とバレンタインデーをうまくからめた見事な脚本でした。
フジテレビ 月曜21時
「デート~恋とはどんなものかしら~」第8話
主演…杏
脚本…古沢良太
演出…武内英樹
絶縁していたはずの巧の父親(平田満)も、幽霊なのに依子の母親(和久井映見)もちゃっかり参加しての両家の結納。
依子の父親(松重豊)が緊張しすぎたり、巧の母親(風吹ジュン)が緊張感がなさすぎで笑ってしまったりで…
依子に最初からやり直しを命じられたり…と、このペアらしい珍妙な結納になってしまいます。
いろいろあった末に両家和気あいあいでお開きになる帰り際、依子は用意したバレンタインデーのチョコを巧に渡そうとしますが、ごまかして結局渡せませんでした。
これには背景があって、依子は小さい時から、母親が誰かに渡しなさいと買ってくれても、結局渡す相手が見つからず、いつも土手で1人食べては帰っていたのでした。
母親にはいつも父親と2人で食べる薮下セレクションのチョコがあって、それを夫婦で仲良く食べていたのですが、
いつか依子が自分で買いにきたらそれを…と店の人に亡くなる前頼んでいたのです。
そんな母親の思いの詰まったチョコを巧に渡せなかった依子は、涙を流しながらあの頃と同じ土手で食べるのでした。
このシーンにはグッときましたね。これまでで依子というのがどんな女性かをしっかりと描いてきているので、なおさらなんですよね。
そこへ巧が現れて貰ってあげるのかと思いきや、さにあらずで自分を恋愛不適合者と決め付けている巧は、あなたは恋愛がしたいのに、僕と一緒になったら一生恋愛ができないから泣いているんだと、巧らしいひねくれたことを言ってしまうんです。
依子に良かれと言っている彼なりの優しさではあるんですが…。
…で、婚約は解消。依子は自分を好きと言ってくれている鷲尾(中島裕翔)と恋とどんなものかを、体験してみようという気になるのです。
一方、巧は巧で幼い頃から巧を慕い続けていた佳織(国仲涼子)と付き合うことになるようで、恋愛ドラマらしい最終回に向けてのひとひねりがあるようです。
恋愛ドラマらしからぬ恋愛ドラマから、恋愛ドラマらしい恋愛ドラマになってきましたね。
それぞれのキャラクターが無駄なくそれぞれいい働きをして、実に緻密に計算し尽くされた脚本です。
しかし、依子の少女時代の子はホント杏の小さい時みたいですよね。
杏も顔負けのいい演技をしてます。
今回の評価は…