冬ドラマは錚々たる脚本家たちが書いた作品が揃ったクールで、誰がどんな脚本を書いてくれるのか非常に楽しみでした。
前の記事ではその中で特にダメだった作品
を3本紹介しましたが、今日は特に良かった作品を4本紹介したいと思います。
まずは…
私めの選ぶドラマアカデミー賞でも最優秀脚本賞に選んだ…
古沢良太
「デート~恋とはどんなものかしら~」
これまで連ドラでは「ゴンゾウ」「外事警察」「鈴木先生」「リーガルハイ」とひねりをきかせたユニークな作品ばかり書いてきた古沢良太が、
ついに恋愛ドラマの本場と言える月9枠で恋愛ドラマに挑むと聞いた時から期待感は高まっていました。
案の定、古沢良太らしい実にひねりをきかせた恋愛ドラマで、回を追って変人の2人を応援したくなっていく構成が見事に組み立てられていました。
各回については冬から春へのイベントをストーリーにうまくからませ、時制を行ったり来たりしながら、それが混乱も招かず、
パズルのようにはまっていく具合は、カタルシスや感動を生みました。
次回作はどんなジャンルに挑んでくれるのか?古沢良太の書く医療ドラマが見てみたいですね。
そんな「デート」に遜色なく優れた脚本だったのが…
橋部敦子
「ゴーストライター」
こちらも十分、最優秀脚本賞を受賞してもおかしくない作品でした。
「僕の生きる道」に始まる「僕」シリーズ、「フリーター、家を買う。」「僕のいた時間」と、独特の世界観を作り出し、主人公が変わっていくさまを描くのに長けている橋部敦子。
どこかクールで冷淡なように見えて、その奥に秘めた熱い情愛を一貫して書いている人で、今回の中谷美紀は橋部ワールドの具現者としては、まさにうってつけの女優でした。
おそらく橋部自身が感じているであろう物書きの作品を生む苦しみを、今回はヒロインに投影し、作品にリアルさと深みが増していました。
3本目は…
坂元裕二
「問題のあるレストラン」
初回があまりに刺激的、かつ不快感を与える内容だったために、視聴者が離れてしまったのは残念でしたが、
レストランで働くことになる3人の若き女性たちの心に傷を負い、その傷を癒やしていく過程を丁寧に描き、それぞれ感動的でした。
そしてセクハラされた娘が告訴するのを応援することになる母親のエピソードにも泣かされました。
坂元裕二のつむぎだすセリフのうまさを堪能しました。
そして、4本目は…
福田靖
「DOCTORS 3~最強の名医」
第3シリーズになってもパワーダウンしないのは、同じ群像劇の「HERO」でも発揮した福田靖のキャラクター1人1人の使い方の上手さ。
今シリーズは新キャラクターは研修医と、買収しようとする理事長くらい。
既存のおなじみキャラクターたちをうまく使いつつ、主人公の相良と名物キャラの卓ちゃんにからめて面白くしていく筆さばきは名人芸を見るようでした。
安心して見ていられる作品を書くというのは、実は難しいことなのに、そう感じさせないところが福田靖の凄さです。
…というわけで冬ドラマ、4本をあげました。
春ドラマ、注目の脚本家は…
中園ミホ
「Dr.倫太郎」
岡田惠和
「心がポキッとね」
林宏司
「アイムホーム」
森下佳子
「天皇の料理番」
誰が最も優れた脚本を書いてくれるのか今から楽しみです。
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