このドラマの記事を書いていく前に私めが木村拓哉という人をどうとらえているかを先に書いておきます。
以前記事に書いたことがありますが、私めは優れた役者は大きく分けて2つのタイプがあると思っていて、
1つはその役者自身の個性(スター性)が強く、演じる役を自分にひきつける「いい役者」
もう1つは演じる役に合わせてさまざまに変わる演技力を持つ「うまい役者」
過去で言えば高倉健や石原裕次郎は「いい役者」で、現代では木村拓哉は代表的な「いい役者」です。
自分に合った役を演じてヒット作品を生むというのは、「いい役者」の条件で、田村正和と古畑任三郎とかはそうですし、木村拓哉と「HERO」の久利生もまさにその良い例でしょう。
しかし、木村拓哉もいつまでも若い頃のキムタクのままではいられないわけで、年相応の役にも挑んでいかねばならない時期に来ています。
そんな中で、これまでフジテレビとTBSでしか連ドラをやって来なかった木村拓哉が、初めてテレビ朝日で、組んだことのない脚本家、演出家とやるということ、不思議と今まで演じなかった父親役をやるということ、
そこには新境地を切り開こうという意欲を感じるのです。もし、今回の作品が成功すれば木村拓哉にとって大きなターニングポイントになるでしょう。
テレビ朝日 木曜21時
「アイムホーム」第1話
主演…木村拓哉
脚本…林宏司
演出…七高剛
前置きが長くなりましたが、今回木村拓哉が演じている役は元やり手の証券マン。事故で記憶障害にになり5年前くらいから後の記憶を失ってしまいます。
なので、つい別れた妻(水野美紀)と娘が住む家に帰ってしまったり、
今の妻(上戸彩)と息子は顔がなぜか仮面にしか見えないのです。
職場も第一営業部のエースだったのが、追い出し部屋と呼ばれる第十三営業部に異動させられます。
忘れてしまうからと一々メモをとったり、職場や家で謝ってばかりの主人公は、キムタクのオラオラ感を消し、凡人感を出そうと努力を感じました。
もっと不安や怯えが強くてもいいかなと思えたのは、それでも何とかしてしまいそうな強さがちらついてしまうからでしょう。
悪いやつらに連れ去られそうな娘を救おうとするところや、手柄をさりげなく同僚に譲るところに木村拓哉の熱さや誠実さを出させて、見せ場にするあたりに脚本家と演出家の努力を感じました。
仕事人間だった割には料理がうますぎたり、逆に妻があまりに料理しないのが気になったり、気になるところはありますが、
ガッカリはしないスタートになりました。
今クールはガッカリさせられる作品が多いので。
及川光博の主治医や、失脚した西田敏行の部長、当たりがキツい光石研の課長、代わってエースになった新井浩文の元部下など、まわりも適材適所、好演しています。
今回の評価は…