今回のひろし(松山ケンイチ)とピョン吉(声=満島ひかり)がクワガタを取りに木に登ってからの、ピョン吉のセリフにはホロッとさせられました。
満島ひかりの声の演技、スゴいですね。声で泣かせるって…。
日本テレビ 土曜21時
「ど根性ガエル」 第5話
主演…松山ケンイチ
脚本…岡田恵和
演出…菅原伸太郎
今回のメインエピソードは、ゴリライモ(新井浩文)が毎年創立記念日に新人に1日社長をやらせるという決まりがあって今年はひろしか京子ちゃん(前田敦子)かで、ひろしが選ばれ、1日社長になったら…という話。
このドラマの難点はこれまでにも指摘してきましたが、あまりに前半のひろしがおバカすぎて、呆れてしまうところにあって、演じている松山ケンイチがまたノリノリの迫力ある演技で見せるので、
それを許せるか、辟易するかで観る人を選んでしまうところにあるのです。
今回も社長になっての浮かれようはまるでおバカさんのノリで、いささかやり過ぎな気もしました。
まるでこれまでの成長のあとが見えなくて…。
自分が招いたトラブルを同行したゴリライモがおさめてくれたら、殊勝に反省はするんですが、その反省ぶりよりやはり前半のおバカなインパクトの方が強すぎるんですよね。
もうちょっとどうにかならないかなと思います。
それよりやはり今回も全体にわたってピョン吉の死期が迫っているというのが、じんわりと切なさを増していて、
ついに五郎(勝地涼)もそれに気付き、ひろしとピョン吉が木に登るのを見上げる五郎と母ちゃん(薬師丸ひろ子)と京子ちゃんの表情が何ともいえませんでした。
誰もが無いものねだりを持っている…という京子のばあちゃん(白石加代子)の言葉を受けて、ピョン吉が俺の無いものねだりは人間みたいに長く生きるってことだ…とひろしに告げるくだりは、思わず胸がしめつけられました。
生きてるってだけで楽しいじゃねえか…というピョン吉の言葉に込められた切なさが何とも言えませんでした。
急に深い人生観をつきつけてくるところがこのドラマの侮れないところ、脚本・岡田恵和の凄みです。
今回の評価はいろいろ不満もありましたがピョン吉のセリフのおかげで…