濃すぎる味付けのおせちのようなドラマ…「富士ファミリー」 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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全5回くらいの連ドラでじっくり見たいと思わせるドラマでしたね。




良くも悪くも木皿泉ワールドがてんこ盛りで、1回に詰め込んだな~という印象。





お正月にちなんで言えば、濃すぎる味付けのおせちをあれもこれもと食べさせられた感じのドラマでした。





1月2日  NHK  19時30分~20時58分
「富士ファミリー」

主演…薬師丸ひろ子、小泉今日子
脚本…木皿泉
演出…吉田照幸



富士山の麓にある古びたコンビニを舞台にした個性的なキャラクターの群像劇的なホームドラマ。




脚本が独特の世界観で人生の深い部分を描き出す木皿泉で、演出がコミカルさを前面に出した「サラリーマンNEO」や「あまちゃん」の吉田照幸だけに、






一筋縄ではいかないクセの強いドラマに仕上がっていました。





店番をしている笑子ばあさんからして、片桐はいりが特殊メークで珍妙にオーバーアクションで演じていて、いきなり好みが分かれるところ。





木皿泉にすれば尊敬する向田邦子の「寺内貫太郎一家」の樹木希林が演じたおばあちゃんへのオマージュなのかもしれませんが…




そのユニークなおばあちゃんばかりか、死んだナスミ(小泉今日子)の幽霊は出てくるわ、




自分は吸血鬼で永遠の命をあげると真顔で言う青年(細田善彦)は出てくるわ、





人に迷惑をかけるために作られた介護ロボットのマツコロイドは出てくるわ、





戸惑うところは多々あるのですが、そこが木皿泉の侮れないところで、彼ら異物の言う言葉が、





日常をただ生きていることに疑問を抱いてしまう現実的な人間たちの感情を波立てたり、励ましたり、考え直させたりするのです。




はるか昔からど~んとそこにある富士山の前で、自分はここにこんな風にしていていいのか?と悩む小さな小さな人間たち。





そんな人々に注がれる愛情ある眼差しが木皿泉らしくて、後味のよいラストでした。





見終われば良いドラマなのに、その前に視聴者をはねてしまうところがあって損なドラマだなとは思いました。



鷹子(薬師丸ひろ子)が思わずもらす「私、よどんでるの…」とか、ドキっとさせられるセリフが散りばめられ、いろいろ考えさせられるドラマでした。






木皿泉にはぜひ視聴率を気にしないNHKで連ドラを書いて欲しいです。






このドラマの評価は…4