このドラマを見る楽しみは、何度も大河ドラマや他の時代劇でも扱われてきた事件や人物を、
三谷幸喜が通説に流されず、どう新解釈で描くかにあって、今回の秀次(新納慎也)の死もそこが気になるポイントでした。
NHK 日曜20時
「真田丸」第28話
主演…堺雅人
脚本…三谷幸喜
演出…土井祥平
秀次は自分で自分を死に追い込んでしまうんですね。
ストレスのあまり、職場放棄して聚楽第から失踪、大阪城にもぐりこんだ秀次は、そこで茶々(竹内結子)が息子の拾を「殿下~殿下~」と呼ぶのを聞いて、より気分がダウン。
茶々がまたも無意識に人を死に追いやることになるのが、ちょっとゾッとしました。
秀次は結局、真田屋敷でかくまってあげることに。
ここで信繁(堺雅人)の母親(高畑淳子)の出自詐称がバレるシーンにはニヤっとさせられましたが、
いつまでも匿い続けるわけにもいかず、秀吉(小日向文世)の耳に入れ、秀次は高野山に謹慎処分に。
それはあくまで世間体で、関白は荷が重かったから、ほとぼりさめたら戻すくらいに秀吉は考えていたのですが…
秀吉からの使者が来たと知ったら、死を命じに来たのかと勝手に思い込み、自ら腹を切ってしまうのでした。
コミュニケーション不足による思い込みが招いた悲劇。
死ぬ直前、信幸(大泉洋)に自分は秀吉に振り回され通しだった、秀吉の甥には生まれ変わりたくない…と嘆く秀次。
私の方がむちゃくちゃですよ…と信幸は大勢言いつらねるんですが、もうすぐ弟が来ると分かると言うと、信頼があるんだなと秀次は羨ましがるのでした。
真田家と豊臣家の対比で、秀次の置かれた悲劇的な状況が浮かび上がりました。
一人になり涙目で天井を見上げる秀次の表情がなんとも切なかったです。
三谷幸喜の新解釈は秀次という人物を深く掘り下げユニークなものになりました。
ただ、それまで秀吉は秀次を憎んでいたわけではないのに、勝手に死んでしまったのに激怒し、秀次の妻子を皆殺しにするのは唐突に見えてしまいました。
新納慎也、この先、いい役をやりますよ、きっと。
今回の評価は…