今年の大河ドラマが始まりました。
昨年と同じ戦国時代が舞台、しかも真田家と同様に戦国大名の勢力争いの狭間で生き抜いていかねばならない弱小勢力の井伊家の話。
ただし、違うのは主人公が女性であるということ。
これまでにも「江」や「おんな太閤記」「利家とまつ」「功名が辻」など戦国時代を舞台に女性が主人公の作品はありましたが、
いずれも戦国武将の妻という立場だったのに対し、今回は初めてヒロイン自らがその家の当主になるというのが大きく違うところです。
それを「JIN-仁」や「ごちそうさん」の脚本家、森下佳子がどう描くか、そこに大いに興味のある作品です。
NHK 日曜20時
「おんな城主直虎」 第1話
主演…柴咲コウ
脚本…森下佳子
演出…渡辺一貴
まず、森下佳子のこだわりは第4話まではヒロインの少女時代をしっかり描くということでした。それは今後につながる重要なことが少女時代に起こるからで、
視聴率を気にするNHK側としては(別にNHKは気にしなくてもいいんですがね…)、反対もしたそうですが、脚本家の意思を尊重してそれを受け入れたそうです。
チーフプロデューサーも女性で、「ごちそうさん」でも森下と組んだ人なので理解があるんでしょうね。
…で、重要となるその子役ですが、新井美羽という子で、柴咲コウとははっきり言ってあまり顔は似てませんが、男勝りで本気で自分が父の跡を継ぎ領主になると信じている少女時代のヒロイン・とわをしっかりした演技で見せていました。
少々、子役くささはあるものの、笑顔が魅力的な子で、オーディションでもそれが良くて選ばれたんだろうな、と思いました。
この先、待ち受ける悲運からすれば、少女時代は彼女にとってキラキラしていた頃で、それが切なくも見えたのです。
そんなとわの将来の夫とされる亀之丞を演じたのは藤本哉汰。この子は面影が三浦春馬に似ていて、これがあとで三浦春馬になるんだなと容易にイメージがわきました。
かつて杏主演の「名前をなくした女神」で杏の息子役を演じた子で、あれから6年近く経っていて随分大きくなったな~と、ちょっと感慨深いものがありました。
生まれつき体が弱く、自分を卑下している少年の憂いを、こちらもしっかりと演じていて、今川に討たれて首となり戻ってきた父親に号泣シーンは、今回最も心打たれたシーンでした。
もう一人、父(吹越満)が亀之丞の父の死に暗躍していることに感づく鶴丸を演じた小林颯という子も、目の演技ができるしっかりした子役でしたね。
この子は「精霊の守り人」で綾瀬はるかに守られるチャグムを演じた子です。
…というわけで、子役は3人とも起用にこたえてしっかり演じていましたが、不満なのは
3人を取り巻く環境がイマイチ説明不足なことでした。
なぜ、亀之丞の父の直満(宇梶剛士)は北条に内通しようとしたのか?とか、鶴丸の父の小野は家老なのに直満を今川に討たせるように仕向けたのか?とか…
分からないまま進んでいる感じはしましたね。
子役だけではなく、どうも頼りなげな領主を杉本哲太はそれらしく演じているし、しっかり者の母の財前直見も、井伊家の精神的支柱の南渓和尚役の小林薫も、権謀術数に長けていそうな小野役の吹越満も皆良いと思います。
心配していた今川義元役の春風亭昇太は今回はセリフ無しだったのでまだボロは出てません。
今回の評価は…