今クール、最も真剣に、というかハマって見ることができた唯一の作品でした。
TBS 火曜22時
「カルテット」
主演…松たか子
脚本…坂元裕二
演出…土井裕泰、金子文紀、坪井敏雄
このドラマ、始まる前からメイン4人のキャスティングに高まるものがありました。
松たか子をヒロインに、松田龍平、高橋一生、満島ひかり。
4人が4人とも、ドラマのみならず、映画や舞台にも出演しキャリアを積んできたメンバー。
その4人ががっつりと共演(…というか競演)するのはワクワクするものがありました。
…で、フタを開けてみたら、期待通りの演技合戦で、オリジナル脚本ならではの各人に合わせてのキャラクター設定。のびのびと演じているのがよく分かりました。
主演の松たか子は普通にしていて、4人の中でもクセの強い他の3人に比べ最も常識的に見えて、実は…というと謎めいたところを最終回まで匂わせるミステリアスな演技で…
松たか子の演技力の懐の深さのようなものを感じさせる役どころでした。
時々、ドキッとさせるダークな部分をちらつかせる具合が絶妙でした。
クドカン演じる夫と、恋人から夫婦になり破綻をきたしていくまでを描いた回は、脚本のできもよかったですが、平凡のようでそこにある奥深さを感じさせる松たか子の演技あればこその優れた回でした。
その松たか子に対して、満島ひかりも満島ひかりらしさをすずめという役の中で、縦横無尽に発揮しており、愛すべきキャラクターにしていましたね。
不器用だけどまっすぐに生きようとするひたむきさがしばしば胸を打ちました。
「an an」の表紙を飾り、ようやくブレイクした感のある高橋一生の家森も初回から面倒くさい男キャラ全開で、坂元裕二ならではのクセの強いセリフを淡々としゃべりながらひきつける感じはこの人の技量あればこそでした。
高橋一生がかきまぜ役とすれば、松田龍平の別府は学級委員的なまとめ役の方で、こちらも松田龍平らしさの出る絶妙なキャスティングでしたね。
誠実で朴訥で不器用で…というさえない感じが、ここまで演じられる人はなかなかいません。
もっと連ドラでも活躍してほしい貴重な役者さんですよね。
以上4人の他にも、謎めいた感じを醸し出した真紀の姑役のもたいまさこも良かったし、何よりもノクターンに勤める目が笑ってないウエイトレス有朱を演じた吉岡里帆の演技には目をみはりました。
したたかで、小ずるくて、それを誤魔化し切れていない薄気味の悪さが何とも魅力的でした。
最後に、作品ごとにいろいろ賛否両論ある脚本の坂元裕二ですが、やはり脚本の質の高さでは頭抜けたものがありますね。
セリフ一つ一つが持つ重みみたいなものも、他のドラマと比べると全然違いますしね。
あ~人生を感じさせるいいセリフだな~ってセリフが今回も結構出てきました。
今のドラマがなかなか良い作品が少ないのも脚本力の低さだと逆に痛感させられる作品だったと思います。
この作品は視聴率はあまり気にしなくてもいいと思える作品でしたが、一応視聴率の推移を書いておきますね。
9.8%→9.6%→7.8%→7.2%→8.5%→7.3%→8.2%→9.5%→11.0%→9.8%
全10話平均…8.87% 最高…#8 11.0% 最低…#4 7.2%
ま~決して恥じる数字ではないですね。
前クールの「逃げ恥」が凄すぎたので見劣りはしますが…