このドラマ、当初は共感しにくいヒロインのキャラクターに難ありで、視聴率は1ケタで低迷するのでは…と思われましたが、
何ごとも中途半端にしないことはいいことで、ひるまず作っていたら、そのあまりの罪悪感のなさが話題を呼び、
第7話はついに関東地区の視聴率が12.4%にまでなりました。
面白い現象ですね。
このドラマは新たな不倫ドラマのありようを切り開いたと言えるかもしれません。
TBS 火曜22時
「あなたのことはそれほど」第6話(5/23)、第7話(5/30)
主演…波瑠
脚本…吉澤智子
演出…竹村謙太郎(6)、金子文紀(7)
このドラマ、好きな人と不倫して何が悪いの!というヒロイン美都(波瑠)のエゴ丸出しの開き直りもスゴいんですが、
面白みが増しているのは、美都のしつこさと、近づいてくる涼太(東出昌大)の不気味さ、気づいているのか分からない麗華(仲里依紗)の怖さに辟易してきた有島(鈴木伸之)の追い込まれようで、
ビクビクしたり、カマかけられたらすぐ白状しそうになったり、有島のオロオロぶりを女性視聴者はいい気味と楽しんで見ているんでしょうね。
配偶者の浮気に気づいていながら、涼太や麗華が取る行動も見どころで、
涼太の気持ち悪いほどの笑顔とベタついた口調は、そりゃ美都も家を出たくなるわな…と思わせました。
東出昌大も頑張ってますが、更に良いのが麗華を演じる仲里依紗で、
自分の母親(清水ミチコ)もクズな夫に苦しめられながらも離婚せずに今もいる…という背景を知ったので、
自分は幸せになりたい…という麗華の渇望が痛いほど分かり、知らんぷりをしないわけにはいかない切なさも伝わるのでした。
そのへんの葛藤を仲里依紗は抑えた演技の中で、実にニュアンス豊かに演じていて、
第7話の有島との食事シーンで、ただ渡辺って女が来た、渡辺って男も来た、あなたは困ったことがあるとフリーズする、それだけよ…
とにこやかに話すところの怖さは出色の演技でした。
もう一人、ねっとりとした存在感の小田原(山崎育三郎)も依然として不気味な存在。
やはり、美都と涼太を別れさせたいんでしょうね。
あと、書いておきたいのは、家出して母親(麻生祐未)のもとに行った美都が安っぽいワンピースを着せられ、母親のスナックを手伝わされるシーン。
美都のふてくされたやさぐれ感がツボでした。
波瑠は愛想がない演技をさせると、ヤケにはまりますね。
第6話、第7話ともに評価は…