帰る家の無い哀しみ…「アンナチュラル」第8話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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前回も良かったですが、今回も脚本、演出、演技、いずれも素晴らしい出来でした。
素直に泣けました。
このドラマ、まぎれもなく連ドラ史に残る傑作の一つになったと思います。





TBS  金曜22時
「アンナチュラル」第8話

主演…石原さとみ
脚本…野木亜紀子
演出…塚原あゆ子





このドラマの素晴らしいのは、1話完結ながら、そのエピソードにレギュラーキャラクターをからませるからませ方が非常に上手いところにあります。






今回も、惚れぼれしたのは、火災現場に残された遺体の身元判明から、1人の男の火災時に取った行動の真実が浮かびあがるのをメインエピソードに据えながら、






そこに久部(窪田正孝)の生い立ち、父親(伊武雅刀)との関係を巧みにからませ、久部の置かれている状況がはっきりする具合が絶妙でした。






それのみならず、身元が判明しても妻の遺骨を引き取ろうとしないゴミ屋敷老人(ミッキー・カーチス)と神倉所長(松重豊)との交流。それを通してなぜ神倉がUDIラボを立ち上げたのかの思いも描かれましたし、






さらにヒロインのミコト(石原さとみ)と養母(薬師丸ひろ子)との遠慮がちな関係まで入れ込んで、それらがすべて帰る家や場所のある喜び、帰れない悲しみというテーマで貫かれているので、あれもこれもというバラバラな感じがしない…それが実に見事でした。





特にメインのエピソードの身元が最後まで分からなかった遺体の刑務所帰りのコワモテの男の話には泣けましたね。
遺骨を引き取りに来た両親に、久部が語るその男が火災現場で取った行動は、切なく感動的でした。





第4話の交通事故死した男と同じくらいに胸に迫りました。
ヤンチャして刑務所に入り、実家に帰りづらくなり火災現場のスナックが自分を受け入れてくれる居場所になった男が、幼い頃に消防士だった父親(木場勝己)から習ったロープの縛り方で、スナックに取り残された人たちを運んだ姿には涙腺が弛みっぱなしでした。






それを受けて、父親に逆らい法医学への道を選んだ久部が勘当同然になり、自分にとってUDIラボという居場所があることへの泣き笑い。
今回は窪田正孝が真価を発揮する繊細な感情表現が随所に見られ、特にこの泣き笑いは
印象的でした。






これまで触れてませんでしたが、神倉所長役の松重豊も適役ですね。飄々としながら一本ビシッと筋が通っている感じが流石です。






神倉が体験したという東日本大震災の遺体判別は「遺体 明日への十日間」という映画を思い出しました。遺体安置所で身元判別に努めた医師たちの話です。
興味ある方はご覧ください。






今回の評価は…