シビアで見ていてしんどくなる回でしたが、このドラマらしい救いがあり、深い感銘を受けました。
NHK 金曜22時
「透明なゆりかご」第7話
主演…清原果耶
脚本…安達奈緒子
演出…村橋直樹
母親からツラく当たられたのは同じでも、アオイとミカには違いがありました。
アオイは発達障害で、突飛な行動を取ってしまう女の子で、ちゃんとして欲しい母親(酒井若菜)は、ついつい叱ってしまうのでした。
問題を起こしては学校に呼び出され、恥ずかしい思いをする母親は、アオイのせいで離婚もし、苛立ちは増すばかり。
本人は至って悪気はなく、何が悪いのか分かっていない…
医師から注意欠陥多動性障害と告げられ、初めてそれが先天性の病気と知ります。
その時の何とも言えない母親の表情が印象的でした。
自分の育て方が悪いからと、どれだけ自分を責めてきたことか、それが痛いほど伝わりました。
そして、現在になり、たまたま道で会った、妻に死なれ、子どもを育てている陽介(葉山奨之)に、
子育てをちゃんとしようと頑張って、子どもの前で不機嫌になったら意味ない…
それより子どもの前で笑っていようと思ってる…と言われ、
自分も間違っていたと知らされます。
陽介のその後が分かってちょっと嬉しくもあり、救いにもなりました。
酒井若菜が難しい役をビビッドな演技で好演していて引き込まれましたね。
一方、ミカの方は更に深刻で、連れ子で再婚した先で弟ができ、継父にミカは疎んじられ、母親もそれに追随してミカにツラく当たるのでした。
一人だけプレハブの別部屋に押し込められ、邪険にされ虐待され、学校でもいじめられる…
アオイとミカの交流が切なく、子役二人の演技も光っていました。
施設に入ったミカのもとに死んだ母親が遺していたミカがらみの物が届き、写真はミカの顔は塗りつぶされていたものの、
ミカが大事に持っていたのに取りあげられ、ボロボロにされた母子手帳も、捨てずに残されていました。
捨てられなかったのか?
そこにはまだミカを産んだばかりの母親の偽らざる愛情がつづられていました。
ミカはそれを読み、一時は死のうと思っていたのを思いとどまります。
赤ちゃんを産んだミカが、嬉々として母子手帳を書き込んでいる姿に心打たれました。
そして、アオイもこれまで見られなかった自分の母子手帳を見ます。
そこにはアオイへの溢れるばかりの愛情がつづられていました。グッと来ましたね。
今回は、清原果耶も難しい演技を実に繊細に演じていて、回を重ねての進化が顕著でした。
母親と娘の関係をいろいろ考えさせられる回でした。
今回の評価は…