初回で見せたそんな二人のギスギスしたやりとりが、まるで幻だったかのような最終回の八雲の臨終シーンでした。
安らかに幸せをかみしめて小夏の傍らで眠るようにあの世に行けた八雲。
業を背負い続けてきた男がようやく解放された姿にしみじみと、良かったな~と思えました。
NHK 金曜22時
「昭和元禄落語心中」最終回
主演…岡田将生
脚本…羽原大介
演出…タナダユキ
萬月(川久保拓司)が見つけてくれた八雲と先代助六(山崎育三郎)の二人会のフィルム。
八雲のいないところで、助六(竜星涼)、小夏、松田(篠井英介)で見ることに…。
そこに映る楽しげに落語をする菊比古時代の八雲に、初めてこんな楽しそうに落語している師匠を見たと驚く助六。
続く先代助六の「芝浜」にも、「オイラ、これ知ってる」と助六。助六になった時にわざわざ部屋まで八雲が訪ねてきて教えてくれた「芝浜」。それはこの時の「芝浜」を伝えてくれたのだと知るのです。
しかも、先代助六が「芝浜」を語り出す前に一瞬止まった目線の先にはみよ吉がいたんだと、言い当てます。
当代の助六も「芝浜」をかける時に、客席にいる小夏を見てから語り出したからです。
二代にわたる助六の「芝浜」
愛する女性のために語ったのに、幸せになった者と悲運に見舞われた者…
山崎、竜星二人の「芝浜」の名演がよみがえり、序盤から私めは目がウルウルしてしまいました。
そして、小夏はこのフィルムがきっかけで埋もれていた記憶をよみがえらせるのです。
あの時、みよ吉は誤って先代助六を刺してしまい、そこに来あわせた小夏が怒ってみよ吉を突き飛ばし…
二人が落ちかかるのを助六が抱き止め、その三人を八雲がつかんだのでした。
この子だけは…と小夏だけ預けられ、助六とみよ吉は転落したというわけです。
気を失っていた小夏は忘れてしまっていたのを良いことに、八雲と松田は隠し続けてきたのでした。
ラジオから流れてくる助六の落語を聞きながら、八雲と小夏のやりとり。
「私がいなけりゃ、そんなに苦しまなかった?」
「お前さんのおかげで後悔なんざしている暇はなかったよ」
死んだ助六とみよ吉は、遺された八雲に小夏という生き甲斐を遺してくれたんですね。
あんなに拒み、嫌がっていた小夏の弟子にしてくださいという願いも優しく受け入れてくれました。
先代助六に託された小夏は幸せになり、落語は人気を保ち、九代目八雲になった助六によって立派に引き継がれました。
八雲は落語と心中せずに済んだのです。
死後、先代助六の霊に言われる言葉、
「なあ坊、お前さんは落語が好きで、人を愛した。そしてよく生き抜いた…」
という誉め言葉に涙腺は崩壊しました。
いや~、素晴らしいドラマでした。
このドラマについては、また後々詳しく書きたいと思います。
最終回の評価は…