ただ、原作者の池井戸潤は、企業の経営面とつながりのある社会人ラグビーチームを面白いと思って書き出したであろうのに対して、
作り手にはそれに加味しての熱いラグビー愛を感じました。
それが受けいれられるか否かでこのドラマの評価は変わります。
TBS 日曜21時
「ノーサイド・ゲーム」第1位
主演…大泉洋
脚本…丑尾健太郎
演出…福澤克雄
ちょっと調べてみたら演出の福澤克雄は、慶應ラグビー部で活躍したバリバリの元ラガーマン。大学時代には社会人のトヨタを破り、日本一にもなったそうです。
そんな福澤ディレクターが長年、ドラマ化してきた池井戸潤がラグビーを題材に新作を書いたら、張り切らないわけがありません。
奇しくも(あるいは、合わせたのかもしれませんが)今年はラグビーのワールドカップが開催される年。ラグビー熱が高まる絶好のタイミングです。
しかし、このドラマの冒頭に主人公君嶋(大泉洋)の妻真希(松たか子)がナレーションで語ったように、ラグビーは女性にはルールが分からない、痛そう、むさい、暑苦しいと敬遠されがちな競技。女性ファンも多いサッカーとはえらい違いです。
そこで、福澤ディレクターとしてはラグビーの素晴らしさをアピールしたいし、良さを理解してもらいたいと熱が入るのも無理からぬところです。
その本気度を強く感じたのは、アストロズの選手のキャスティング。
本格的なプレーを撮るには、野球やサッカーのように誰もがやったことのある競技ではないラグビーでは経験者が必要です。
…で、集められたのがキャプテン岸和田役の高橋光臣は花園にも出た高校ラガーマン。
今回目立った浜畑役の廣瀬俊朗は、役者ではなく、日本代表キャプテンにもなったホンモノのラグビー選手。
(面構えがホンモノだけに凄みがありましたね。)
小柄な佐々役の林家たま平は、落語の林家正蔵(かつての林家こぶ平)の息子で、こちらも中高ラグビー部。
今回は目立ってませんでしたが、サントリーや神戸製鋼で活躍した斉藤祐也も出てますね。
他にも体格からしてそれっぽい人だらけです。
ムキムキアピールがやたら多くて、かなり暑苦しかったですけどね…(汗)
ただ、これが成績不振で企業のお荷物になっているチームが強くなるスポ根ものなら、単純すぎて面白くないですが、
主人公が本社から左遷させられた元経営戦略室次長で、経営面からもGMとしてチームを立て直して行こうという話で、そこが面白そうと思いました。
大泉洋が主人公の冷静な面と熱い面をしっかり演じ分けていて、どん底からの逆転劇を見ていく素地を作ってくれました。
君嶋を追い落とした天敵の滝川役の上川隆也がまた憎々しくて良かったですね。
上川隆也ってこういうイヤな役も実は上手いんですよね。敵役が良くないとこの手のドラマは盛り上がりませんから。
松たか子の妻真希は、松たか子じゃなくても良さそうな役でした。初回を見る限りは…
息子役は市川右近。「陸王」でシューフィッターを演じた歌舞伎俳優市川右團次の息子。
目力のある男の子ですね。
あと気になった、ニュージーランドから帰ってきた選手役の青年ですが、眞栄田郷敦って誰だ?と調べたら千葉真一の息子、新田真剣佑の弟でした。オーラがあるのもなるほどでした。
今回の評価は…