「下妻物語」で演じたロリータファッションの女子高生・桃子や、「ヤッターマン」で演じたドロンジョは、これぞ!深キョン!!という傑作で、それらを超える役は連ドラではいまだ見たことがありません。
つまり、映画という、より非日常的な虚構の世界でこそ生き生きと輝く稀有な存在の女優さんなんだと私めは思っているわけです。
フジテレビ 木曜22時
「ルパンの娘」第1話
主演…深田恭子
脚本…徳永友一
演出…武内英樹
そんな深田恭子が、今回は連ドラでは珍しく生き生きと演じられる役に出会いました。
日頃は図書館で働くおしとやかな女性ですが、実は代々続く泥棒一家の跡取り娘。
仮面とコスチュームに身を包み、悪者をこらしめ盗み出すキャッツアイみたいな役なんです。
なかなか荒唐無稽な設定で、しかも家族みな警察官一家の桜庭(瀬戸康史)と恋をしてしまうというバタバタコメディ要素もあり、
これをベタなドラマでやると、とてもシラケて見ていられないものになりがちですが…
今年スマッシュヒットしたコメディ映画「翔んで埼玉」の脚本、演出コンビの徳永友一と武内英樹が、映画的なハッタリをかませて、シラケずに見られるものにしています。
特に「のだめカンタービレ」や「電車男」「デート」の演出で、映画「テルマエ・ロマエ」の監督でもある武内英樹は、意識的に映画的な画作り、質感にして、音楽の使い方も遊び心たっぷりに、演出していて、荒唐無稽さを堂々とむしろ煽っているのが成功しています。
ヒロインの深田恭子は、「初めて恋をした日に読む話」の時にも書きましたが、フワフワとダメキャラのようでいて、時々キリっとするところが深田恭子の魅力で、
このドラマでも、恋人が警察官一家と知りオロオロするだけでなく、恋人のピンチを救うべくコスチュームに身を包み悪人をこらしめる変貌ぶりが魅力的に初回から描かれました。
瀬戸康史はいつもより体をがっちりさせて、まっすぐな刑事を好演。
しかし、なぜ加藤諒が上司役なのかは謎。
あと、藤岡弘は祖父には見えないですね。伯父さんでしょう、あれでは。
一方、面白いのは泥棒一家の方で、渡部篤郎と小沢真珠がノリノリで両親を演じていて、特に小沢真珠は怪演に近く、小沢真珠ならではです。
祖母役のどんぐりは映画「カメラを止めるな」で異彩を放っていた風貌の人で、祖父が麿赤兒で祖母がどんぐりなのに、よく深田恭子と栗原類みたいな孫ができたものだと、ムチャなキャスティングに笑えました。
栗原類が引きこもりのハッカーで、セリフが少ないのは賢明。
ルパン一家は悪者を狙う義賊というのが、見ていて痛快ですね。
あまり期待していませんでしたが、低調な夏ドラマでこれは拾い物かもしれません。
今回の評価は…