この部門も助演女優同様に激戦で5人にはおさまらず、6人ノミネートしました。
渡部篤郎
「ルパンの娘」
こういう役をきっとやってみたかったんでしょうね、この人。ノリノリでアクションもコミカル演技も軽やかに演じてくれました。
妻役の小沢真珠同様に若い頃からクセの強い演技をする人でしたが、年齢を重ねてそのクセがいい案配に熟成され、超然とした雰囲気が独特でした。
この手の役のオファーが増えるでしょうね。三谷幸喜も狙ってそうです。
黒木啓司
「わたし旦那をシェアしてた」
このドラマで異彩を放っていたサイコパスなヒール役。その凄みは予想以上で迫力がありました。
こんなに演技ができるとは…驚きのあまりノミネートに加えました。
吹越満
「これは経費で落ちません」
このオフィス群像劇には愛すべきキャラクターが沢山いましたが、中でも一人選ぶならこの人。
かつて久本雅美らとワハハ本舗で活躍した吹越満ならではの笑いのセンスが活きた役でした。
こういう飄々とした「引き」の芸ができる人が今は少ないので貴重な存在ですね。
高橋一生
「凪のお暇」
これはある意味、黒木華のドラマであると同時に高橋一生のドラマでもあったように思います。それぐらい彼の演じる慎二の変化も作品の見どころでした。
ややこしい性格の男を演じさせたら同年代で右に出る者はいないだろうと思わせる千変万化の演技を見せてくれましたね。
中村倫也
「凪のお暇」
漫画が原作だと、なかなか原作のような人物に生身の役者はなりきれないものですが、
(私めは原作を読んでませんが)中村倫也のゴンは漫画の中から抜け出てきたような超然としたたたずまいが見事でした。
細田善彦
「だから私は推しました」
アイドルグループ「サニーサイドアップ」の推しファンのリーダー的存在の小豆さん。
女性ながら新たにファンになったヒロインの愛を受けいれ、陰ながらサポートするその微妙な距離感を巧みに演じました。
この人は技量のある人なのになかなか評価をされず、どこかのきっかけでブレイクしてくれたらと願っている一人です。
以上、6人の中から最優秀助演男優賞に選んだのは…
高橋一生
「凪のお暇」
これは高橋一生を選ばないわけにはいかなかったですね。
彼が長年培ってきた演技の引き出しを駆使した役でした。
複雑な感情表現をデリケートに演じる細やかさは彼ならではでしたね。
あと、惜しくもノミネートから漏れましたが次点として書いておきたいのが…
駿河太郎、尾上寛之
「べしゃり暮らし」
二人が演じた漫才コンビ「デジタルきんぎょ」はメインの二人もかすむほどの存在感。その悲劇には泣かされました。