寅さんは戦時下をどう過ごしたか?…「少年寅次郎」第2話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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今回は昭和11年生まれの寅次郎少年(藤原颯音)とその一家が、太平洋戦争の最中をどう過ごしたかが描かれました。




NHK  土曜21時
「少年寅次郎」第2話

主演…井上真央
脚本…岡田惠和
演出…本木一博



戦争も末期になると若者だけでは兵隊が足らず、寅次郎の父親・平造(毎熊克哉)のもとにも、赤紙(召集令状)が届きました。




「ホントに赤ぇんだな…」と言いながらショックを隠せない平造。
家にはいられず飲みに行く平造、それを迎えに行く光子(井上真央)





帰り道、酔って声をあげる平造を夜回りの憲兵がとがめると、毅然と光子が言い返すシーン。
その強さに平造がお前怖いな~と舌を巻くのは、夫の不安や無念さを察する光子の愛情の深さが伝わる良いシーンでした。




三人の子どもを残して出征して行くシーンも、万歳する寅次郎の笑顔がかえって悲しさを際立たせました。




複雑な表情の平造。演じる毎熊克哉はまだあまりなじみのない役者さんですが、私めは面構えのよい有望株と注目してます。これを機会に覚えておいて下さい。




平造が出征したあと、病弱な兄の昭一郎(山時聡真)が亡くなります。
生きてお国に尽くすことも、戦地に行って死ぬこともできない…と嘆いていたのが印象的でした。




演じる山時聡真(さんときそうまと読むそうです)はキラキラした目が印象的な少年で、松坂桃李や菅田将暉の所属事務所の新人のようです。
今から覚えておくのも良いかもしれません。



息子を死なせてしまったのを光子が義父の正吉(きたろう)に泣きながら詫びるシーンも、胸に迫るものがありました。
無言のきたろうも良かったですね。
きたろうにびったりの役です。





平造の出征、昭一郎の死、度重なる悲しい出来事に追い討ちをかけるように東京大空襲。





幸い、寅次郎のいる柴又は焼夷弾は落とされませんでしたが、下町の方が赤々と焼けるのを寅次郎は土手で見つめながら、寅次郎は一夜そこで過ごしてしまいます。




この世の終わりのような光景、それは美しくもあり、虚しくもあり、空を飛ぶB29の大きさに圧倒される無力感、





ピュアな少年の記憶にそれは深く刻まれたんでしょうね。
自由気ままに生きようとした寅次郎の原点は、この戦中にあったようにも思えます。




朝、家に戻った寅次郎を、一晩中探していた光子はひっぱたき、泣きながら抱き締めます。
思わずもらい泣きしました。
井上真央、いいです、やっぱり。




今回の評価は…