「池袋ウェストゲートバーク」も「木更津キャッツアイ」も大好きな傑作ですが、真っ先に書きたいのはこの作品になります。
2005年 春ドラマ
TBS 金曜22時
「タイガー＆ドラゴン」
主演…長瀬智也、岡田准一
共演…西田敏行、阿部サダヲ、蒼井優、笑福亭鶴瓶、荒川良々、桐谷健太、伊東美咲
脚本…宮藤官九郎
演出…金子文紀、坪井敏雄、片山修
主題歌…クレイジーケンバンド「タイガー＆ドラゴン」
「池袋ウェストゲートバーク」主演の長瀬智也と、「木更津キャッツアイ」主演の岡田准一が、宮藤官九郎脚本でW主演したのがこのドラマ。
「木更津キャッツアイ」で見せた構成の上手さ(出来事を表裏で見せる)を、宮藤官九郎は落語を題材にこのドラマでも遺憾なく発揮し、最高傑作といえるところまで昇華させました。
古典落語の中でもポピュラーなネタを、落語家どん兵衛(西田敏行)に弟子入りしたヤクザの虎児(長瀬智也)が師匠に習うのですが、
それをそのまま高座にはかけず、実際に虎児が見聞きした出来事とミックスさせて、自分なりのネタにしてしまう…というのが毎回の仕組みでした。
古典落語のネタが持つエッセンスを活かしたまま、現代に置き換える、それはなかなか難しい作業だったでしょうが、
そういう制約があるからこそ、悩みに悩んで生み出したからこその一話一話が珠玉の脚本でした。
長瀬智也は「池袋ウェストゲートバーク」の主人公の延長線上にあるようなぶっきらぼうで感情豊かなヤクザ役がハマり役。長瀬智也以外には考えられないような役でした。
対するどん兵衛の息子で、裏原宿でダサい服を売ってる竜二を演じた岡田准一。
今やどんどん渋い役者になってますが、この頃はまだコメディを軽やかに演じていて、伊東美咲演じる小悪魔的なメグミに翻弄されるドタバタぶりは実にアクティブでした。
主演の二人以外も脇の小さな役に至るまで、目配りされたキャラ設定がなされていて、どの役もおかしく魅力的でした。
竜二の兄で落語はダメなのでテレビでリポーターやリアクション芸をしているどん太を演じた阿部サダヲ、クセの強い落語マニアの淡島を演じた荒川良々、二人は宮藤官九郎の劇団仲間だけに特にその良さを引き出して。彼らが売れていく道を開きました。
どん兵衛の弟子は今見れば、春風亭昇太に星野源に浅利陽介。豪華なメンバーです。
心に残る回はいくつもありますが、古田新太と清水ミチコが夫婦漫才師を演じた「厩火事」の回は何度見ても泣ける感動的な回です。
♪俺の話を聞け～！のクレイジーケンバンドの主題歌もピッタリでしたね。
私めの中でこよなく愛し続ける作品です。