思い出の連ドラ回顧シリーズ…「女王の教室」 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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脚本家にはクセの強い人っていて、古くは山田太一や倉本聰がそうでしたし、今の脚本家だと、坂元裕二と並んでこの人ですかね。





2005年 夏ドラマ
日本テレビ  土曜 21時
「女王の教室」

主演…天海祐希
共演…志田未来、羽田美智子、夏帆、内藤剛志

脚本…遊川和彦
演出…大塚恭司、岩本仁志
主題歌…EXILE「EXIT」




元々は遊川和彦、クセの強い脚本を書いてたわけじゃないんです。
「予備校ブギ」などのブギシリーズや、「真昼の月」「GTO」「魔女の条件」などを書いていたのですが、




明らかに作風が変わり、クセの強い脚本家になったきっかけはこのドラマの成功でした。




これまでの「熱中時代」や「ごくせん」「金八先生」などの学園ドラマへのアンチテーゼのように、




このドラマで天海祐希が演じたヒロインの阿久津真矢は、およそ小学校教師らしからぬ異端の教師でした。




笑わず常にクールで無表情、生徒に媚びず、突き放すように振る舞う鬼教師。
しかし、それは生徒のためを思い、その自主性やたくましさを持たせるためと徐々に分かっていくのです。




これまでの学園ドラマの教師とあまりに違う厳しさや冷たさに批判も巻き起こり、スポンサーが下りるなんてこともあり、





それが話題を呼んで、最終回は25.3%という高い視聴率を獲得するドラマになったのです。





天海祐希は「女囚さそり」シリーズの梶芽衣子のような黒ずくめで、凛としたたたずまいで感情をあらわさない。
生徒たちの反発にも全く動じない強さは天海祐希ならではでした。




視聴者に不快感を与えない品の良さがあったんですね。




…で、このドラマを成功させたのは、遊川和彦の脚本、天海祐希の主演、そしてもう1つ、子役志田未来の好演でした。




オーディションで選ばれ、生徒の中で最も重要な和美役を射止めた志田未来は、真矢に翻弄されながら強くなっていく和美を、並の子役とは図抜けた演技で見せて注目を集めました。




それまで子役の事務所にいましたが、このあと天海祐希の所属する研音に移籍、さらに「14歳の母」で連ドラ主演とつながっていくのです。




志田未来にとってはまさに人生を変えた役だったわけです。




他にも生徒の中には、このあと「白夜行」で注目される福田麻由子や、私めは覚えていませんが、若くして名脇役になっている伊藤沙莉も出ていたようです。




脚本の遊川和彦は、このドラマの成功以降、型破りで個性的なヒロインを描くことを好むようになり、



菅野美穂主演「曲げられない女」
松嶋菜々子主演「家政婦のミタ」
高畑充希主演「過保護のカホコ」「同期のサクラ」
杉咲花主演「ハケン占い師アタル」




…などを書くわけです。
賛否両論分かれそうな、クセの強いヒロインをあえて書いて視聴者を挑発する、そんな確信犯の脚本家になりました。




次回作はどんなヒロインを書いてくれるんでしょうか?