人を助けられるのは人だけ…「野ブタ。をプロデュース」特別編 第9話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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ドラマの前後で亀梨和也と山下智久が出てコメントしてましたが、特に今回印象的だったのは、周りの先輩俳優たちやスタッフにのびのびとやらせてもらえていたことを改めて感じて感謝していること、自分たちにとってかけがえない作品を最終回まで見てもらえて嬉しいということでした。




コロナ禍による春ドラマの代替作品の放送で、最も価値があったのは、このドラマの完全再放送だったと私めは思います。




なぜなら、紛れもなくこのドラマは、伝説の名作と言える作品に他ならないからです。




日本テレビ  土曜22時
「野ブタ。をプロデュース」特別編 第9話

主演…亀梨和也
脚本…木皿泉
演出…佐久間紀佳




亀梨和也、山下智久、堀北真希にとって役者人生の早い段階でこの名作に出会えたのは、非常に幸運でした。




彼らは今振り返ると、しみじみとそれを感じているのだと思います。
自分をいかに良く見せようか、そんなことに懸命になって気負って演じていた部分もあったでしょう。





その時は気づかなくても、今改めて見ると、周りの先輩俳優やスタッフにいかに支えられて、自分は輝いていたかに気づく、そんなことって今までは無かったことで、そんな機会を得た二人のコメントを興味深く聞きました。




リアルタイムで放送を見て、ボイスメモでお互い修二と彰の口調でやりとりしているそうで、放送当時はライバル心からか不和が噂された二人だけに、へ~そんなことをしているんだとちょっと面白かったです。





さて、前置きが長くなりましたが、このドラマが伝説の名作である所以は、もはやあまり連ドラを書かなくなってしまった木皿泉の脚本であるからでもあります。




木皿泉という脚本家は実にユニークな脚本家で、作品数は少ないですが、それぞれが他の脚本家には真似ようのない独特な作品ばかりです。




中でもこのドラマは「すいか」と並んで最高傑作とも言える作品で、アイドル主演の学園ドラマと侮るなかれ、実に寓意に満ちた人間の深い部分を描いた作品なんです。





今回の第9話も木皿泉脚本の凄みが随所でうかがえて、何気ない会話の中にも含蓄の深いセリフが沢山あります。




信子(堀北真希)にさまざまな嫌がらせをしていたのに、親友ぶって近づいていた蒼井(辻瑠美)が正体をあらわし、信子はショックのあまり登校しなくなります。




信子の昼食リポートを楽しみにしていたという声を聞いた修二は、




虚像がバレて孤立した状態でしたが、勇気を出して、クラスメートに信子へのメッセージを頼みます。




今こうして言ってる言葉がみんなに届いてないと思うと怖いです…



と、修二の言葉のあと、修二が孤立する原因となった谷口(大東駿介)が口火を切って「届いてるよ」と言ってくれた時の感動、





そして、みんなからのメッセージを見て涙する信子。
修二や彰(山下智久) がプロデュースをしてきた努力の結実が、ドラマチックかつ感動の押し付けでなく描かれているのです。




更に、続く修二、彰、信子、蒼井の4人が同じ蒼井が屋上から飛び下りる夢を見て、その場に4人が行ったら、落ちた人型ができていたという摩訶不思議な出来ごと。





こんな現実離れしたファンタジックなことを、シレっと盛り込んで来るのが木皿泉脚本のユニークなところです。




蒼井の悪魔的な企みは3人の絆の前に打ち砕かれ、蒼井は取り返しのつかないことにならず済んだのです。




修二のナレーションの言葉が心に刺さります。
「人を助けられるのは、人だけなのかもしれない」
深い言葉ですね。
実に哲学的です。




次回、最終回が楽しみです。