私めはおばあちゃん子でしたので、おばあちゃんがらみの話にはとりわけ弱く、デイサービスのお年寄りたちに寺本が佐藤を「尊敬するおばあちゃんです」と紹介するシーンには涙、涙でした。
NHK 土曜21時
「天使にリクエストを~人生最後の願い~」最終回
主演…江口洋介
脚本…大森寿美男
演出…片岡敬司
前回、島田(江口洋介)の義父三井(山本學)を囲んでの会食の時に、寺本が自分の父親は自殺したという告白が、こんな形で最終回につながってくるとは思っていませんでした。
サイレント・エンジェルの財団を立ち上げた佐藤自身が余命がわずかと知り、島田たちは最後の願いをかなえたさに、佐藤の家族のことを調べ始めます。
今回の脚本は実に巧みにできていて、島田たちにより佐藤の息子との因縁が明らかになっていくのと並行して、
佐藤を訪問介護する寺本が、佐藤の家にあったオモチャから佐藤が自分の祖母だと気づいていく過程も描かれました。
シングルマザーで息子を育てた佐藤は、息子がオモチャの会社を継がずに、介護事業を始めたのを受けいれられず、
息子の資金難にも救いの手をさしのべずに、息子は自殺してしまったのでした。
佐藤はその過ちを悔い、息子の願いを叶えたさに財団を立ち上げ、寺本の母親(羽野晶紀)の許しを得て、寺本を指名し、手伝ってもらうことにしたのです。
事実を知って、寺本は父親を自殺に追い込んだ佐藤を許せず、財団を抜けると言い出しますが、
島田が自分の経験をふまえて説得します。
この島田の言葉が良かったですね。
「いくつになっても人は間違えるんだよ。けど、その分、他人のことを思えるようにもなるんだ。他人のことを思うことが、自分を思うことにもつながるんだよ」
やさぐれていた島田が、サイレント・エンジェルの活動を通じて、改めて思い知り、人間らしさを取り戻したからこそ言えた言葉で、だからこそ寺本の心にも響いたのです。
冒頭にも書きましたが寺本がデイサービスのお年寄りたちに語るシーンは、志尊淳の演技が見事でした。
なぜ、この役が彼でなければならなかったかがよく分かる最終回でした。
毎回エンドでおなじみの歌、今回佐藤は何をリクエストするのかと思ったら、孫の寺本に選曲をゆだねて奥田民生の「さすらい」でした。
このドラマのエンドを飾るナイスチョイスでしたね。志尊、上白石、江口と歌っていくのが洒落てました。
重いテーマを扱いながら、軽やかさと優しさを兼ね備えたこのドラマらしいラストでした。
このあとどうなったかを想像に任せるのも良かったです。
最終回の評価は…これまでの分も足して…
いいドラマでした。続編を望みます。