離見の見ができるようになった寿一…「俺の家の話」第9話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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寿三郎(西田敏行)は施設に入り、寿限無(桐谷健太)は怒って出て行き、舞(江口のりこ)と踊介(永山絢斗)は寄りつかなくなってしまい、




寿一(長瀬智也)はさくら(戸田恵梨香)と広い屋敷で二人きり。ラブモードを期待するさくらをそっちのけで、寿一は能の稽古、研究に夢中。
呆れてさくらも出ていってしまいます。




TBS  金曜22時
「俺の家の話」第9話

主演…長瀬智也
脚本…宮藤官九郎
演出…福田亮介




世阿弥が能の奥義を記した書物に「離見の見」という言葉があり、それが今回はセリフにも登場し、寿一をもう一人の寿一が見ているという視覚的にも表現されました。




この「離見の見」とはどういう意味かと言うと、客席からどのように自分の演技が見られているか、その第三者の目も自分の中に持って演じなさい…という教えです。





これは私めがいるテレビ界でもあてはまることで、テレビ番組を作るときは視聴者の皆さんから自分が作った番組はどう見られるか客観的な視点も持って作るというのはとても大事なことです。




…でないと、一人よがりな作り手だけが楽しんでいる番組になってしまいますからね。





これまで自分の生きたいように生きてきた寿一は、世阿弥からそれを学ぶんですね。




寿三郎に代わり、寿三郎の座っていた上座に座る自分の姿をもう一人の寿一が見ていたり、

スーパー世阿弥マシンとなって試合に向かう姿を見ている…





自分のありようを客観的にも見えてきた寿一の成長をそこに見るのと同時に、




私めには脚本、宮藤官九郎の、演じる長瀬智也に向けてのメッセージのようにも感じられました。深読みかもしれませんが…




このドラマを最後に裏方にまわるという長瀬智也は、離見の見で自分を見つめ直そうとしているのではないか…




しかし、長州力のセリフにあったように、プロレスラーが何度引退もしたっていいのと同じで、



また更なる成長とともに役者に戻ってきてね、という願いが込められているように思いました。




脳卒中で倒れた寿三郎にスーパー世阿弥マシンの正体を明かして、寿三郎をよみがえらせようと、「肝ったま、しこったま…」とさんたまプロレスの掛け声を何度もかける寿一、




家族や寿一を否定していた門弟たちまで、つられて唱和していくシーンは、「タイガー&ドラゴン」の最終回で「タイガー、タイガー、じれっタイガー!」を何度も唱和し、寄席の客と一体になる感動のシーンを思い起こさせました。




みんなを巻き込む熱い男をストレートに演じる長瀬智也のスゴさは、とても得難いものです。
今回、ぜひまた戻ってきてほしいと痛感しました。





最終回、どうなりますかね。
今回の評価は…