続いては最優秀主演男優賞の発表です。
男優主演作品は女優より多くて、W主演も含め9作品にもなります。
こちらはなかなかの混戦状態でノミネートせず全員を寸評していきます。
竹野内豊
「イチケイのカラス」
竹野内豊の連ドラの代表作と呼んで良いのではと思えるハマり役でした。
(WOWOWの「さまよう刃」も素晴らしかったですが)
飄々とした中に真実を見極めるためには妥協しないしなやかな強さを垣間見せる、現実はなかなかいない理想の裁判官を魅力的に演じました。
黒木華とのコンビネーションも良かったです。
中村倫也
「珈琲いかがでしょう」
穏やかな微笑みをたたえた移動販売の珈琲屋と元は虛無的に人を始末していたヤクザという極端な主人公の二面を演じ分ける技量の高さはこの人ならではでした。
無表情で殺すシーンの凄みは目を背けたくなるほどのスゴさでしたね。
玉木宏
「桜の塔」
この人の「白い巨塔」が見たくなりましたね。周りとの年齢的なバランスがこのドラマでは気になってしまいました。
椎名桔平との対決シーンは見ごたえありましたが、いささか玉木宏主演に食傷気味です。
松坂桃李
「あのときキスしておけば」
「今ここにある危機とぼくの好感度について」
とちらもヘタレながら、変化していくさまを細やかに演じ、コミカルとシリアスのバランスが良かったです。
おふざけになりかねないところをそうはならない品の良さがこの人の強みです。
國村隼
「生きるとか死ぬとか父親とか」
生きたいように生きてきて、迷惑もかけてきたのにどこか憎めない、老いても洒落っけのある父親を淡々と演じました。
この歳で連ドラ主演するとは國村隼自身も予想だにしてなかったでしょうね。
ちょっとヨーロッパ映画に出てくるような軽妙洒脱な父親でした。
菅田将暉
「コントが始まる」
今回は売れない芸人役。
夢やぶれて芸人の道を諦めるやるせなさをほろ苦く演じました。
青春群像劇でまわりのキャストを立てながらバランスを取る、一歩引いた主人公でした。そういう役もこなすのが菅田将暉の凄みでもあります。
横山裕
「コタローは1人暮らし」
ただ漫然と生きている感じだった売れない漫画家が、コタロー少年との交流で前向きさを取り戻す過程を、この人ならではの味のある演技で見せました。
横山裕は使い方がなかなか難しい役者ですが、ハマる役を演じると実に良い人です。もっと評価されるべきだと思います。
阿部寛
「ドラゴン桜」
この役はやはり阿部寛の代表作なのだと月日は経っても再認識できましたね。
「結婚できない男」の続編のようにガッカリしなくて良かったです。
生徒へのアドバイスや教訓はむしろ年齢を重ねて含蓄がより深いものになったとすら思いました。
いつになく阿部寛の滑舌も良かったです。
以上8人から1人だけ選ぶのはなかなか酷な作業で、こんなに悩んだのは近年ありません。
ハイレベルの大激戦でした。
熟考の末に最優秀主演男優賞に選んだのは…
松坂桃李
「あのときキスしておけば」
「今ここにある危機とぼくの好感度について」
主演2作品で「合わせ技1本!」という感じであえて今クールは松坂桃李を選ぶことにしました。
同じようなヘタレの役でも桃地は桃地、神崎は神崎というキャラを愛すべき男として演じ分けた技量を今回は讃えたいと思います。
この2作品で松坂桃李を見直した人も多かったのではないでしょうか?
舞台や映画でイケメン俳優が演じないような役にも果敢に挑んできた成果がしっかり出たのだと思います。