最終回は脚本にメイン演出の大九明子も名を連ねていて、演出家の意向が強く反映された脚本で、最後まで個性的でとんがったドラマであり続けました。
テレビ東京 金曜24時12分
「シジュウカラ」最終回
主演…山口紗弥加
脚本…開真理、大九明子
演出…大九明子
前回の洋平(宮崎吐夢)が自分のこれまでを振り返る独白で、洋平という人物がより明確にわかったように、
今回は岡野(池内博之)と冬子(酒井若菜)のナレーションつき振り返りがあり、2人が忍(山口紗弥加)や千秋(板垣李光人)をどう思ってきたのか、視点を変えて描かれました。
自分も漫画家志望だったのに、編集者になった岡野は、自分を漫画の才能がない凡人ととらえていてそのコンプレックスが根っこにあったんですね。
だから、才能のある忍を征服したかったり、才能ある同士で結びつこうとする忍と千秋の関係に嫉妬し潰そうとしたんだなとよく分かりました。
一方、千秋にとって毒親の冬子は、自身も家族の愛に恵まれなかったようです。
千秋の父親は千秋に似て美型で指の綺麗な人だったようですが、その手で暴力をふるい、家に寄り付かなくなったようで、彼女にとって家は常に「闇」だったのでした。
可愛いがり育てた千秋は、隣人に身体を売るようになってしまうし、働いてきたスナックも追い出されてしまうし、
あまりに絶望的で、自暴自棄になってしまうのも無理からぬ感じでした。
いっそ千秋が自分を殺してくれたらいいのに…
千秋はそんな冬子からようやく離れることを決め、2人の別れのシーンが印象的でした。
家のそばの石段に腰掛けてタバコを吸う2人。
冬子も千秋への依存をやめ、前向きになれたらいいんですがね。
千秋を見送る酒井若菜の表情がなんともいえないものでした。
漫画の創作意欲をお互い取り戻した忍と千秋。
ようやく結ばれ、公私にパートナーになれたようです。
忍が執着していた息子の悠太は、母親に依存せず生きていくようで、忍は好きに生きたらというスタンスでした。
この息子が一番しっかりしてましたね。
忍からも千秋からも離れて、みひろ(山口まゆ)は別人のように明るい笑顔になりましたね。
それぞれが前に踏み出せた希望のある最終回でした。
洋平のその後が気にはなりましたけどね(笑)
冬ドラマではユニークさではダントツのドラマでした。
今回の評価は…8