「高校教師」や「魔女の条件」のような教師と教え子の禁断の恋を今さらまたやられてもな~と思っていましたが、
このドラマ、軸にはそれがあるとはいえ、タイトルの「純愛」より「ディソナンス」=不協和音の方の要素が強めで、ギクシャクした人間関係や、殺人というサスペンスまで盛り込まれてきて、
あまり欲張りすぎて、なんだかよく分からない作品になりはしないかと、そちらが心配になるほどでした。
フジテレビ 木曜22時
「純愛ディソナンス」第1話
主演…中島裕翔
脚本…玉田真也
演出…木村真人
今、私めが若手女優の中で、最も後押ししたいなと思わせてくれるのが、このドラマのヒロイン役の吉川愛です。
私めが、名子役だった彼女が再び芸名を変えて芸能界に戻り、またその凄さを見せたのを認識したのは2019年の「緊急取調室」で事務所の先輩、天海祐希を相手に堂々と取調べを受ける女子大生を演じた時でした。
記事で私めは元天才子役恐るべしとタイトルに書き、この事務所を将来、杉咲花と吉川愛が背負っていくだろうと予言もしています。
杉咲花の快進撃に比べ、吉川愛はなかなか芽が出ず、「古見さんはコミュ症です」では万場木さんを好演し、春ドラマでは深夜枠の「明日、私は誰かのカノジョ」で主役を見事に演じきり、ようやく活躍がめざましくなってきました。
そんな吉川愛ですが、このドラマでは毒親の母親(富田靖子)に依存され、バイト代も取り上げられるような不遇にありながら、強い意志を持ちたくましく生きている女子高生を演じています。
母親のヒモのようなクズ男にかみつき、逆ギレされるシーンは、クズ男をにらみつける目力はスゴいものがありました。
また、富田靖子の母親がスゴいんですね、ゾッとするほどの自己肯定で悪気がない怖さを演じています。
さて、対する主人公の新田(中島裕翔)は、爽やかな好青年に見えて、心の声で毒を吐いたり、平気で生徒にうそをついたり、
学園の理事長をしている父親(神保悟志)からは亡き兄と違い疎んじられていたり、一筋縄では行かないダークさをもっています。
そんな複雑な男を中島裕翔はデリケートに演じていて、進境を示しています。
手塚とおるの教頭や、眞島秀和や比嘉愛未の同僚教師たち、いずれも胡散臭さぷんぷんで、不穏な空気が流れています。
新田の亡き兄のカノジョだった小坂(筧美和子)は行方知れずでしたが遺体が見つかり、更に緊張感が高まります。
今回、脚本の玉田真也は「45 万キロかなたの恋」や「伝説のお母さん」などユニークなドラマを書いている個性派ですが、
このドラマ、玉田以外にもまだ3人脚本家がいるらしく、4人でどう書いて行くのか、1話完結のドラマではないのに、先が思いやられます。
今回の評価は…8