最近はいいお父さん役の方が多い光石研ですが、同じ木曜日の「六本木クラス」でも、主人公、新の復讐劇のもとになる優しく理解ある父親を演じてました。
ところが、以前はクズな父親もよく演じていて、映画「ヒミズ」で染谷将太演じる息子に殺される虐待オヤジとか凄かったんですよね。
そんな光石研が、連ドラではなかなか無いほどの、どす黒い役をこのドラマでは怪演していて、冴(吉川愛)の毒母役の富田靖子と並んで、これは必見と言える演技です。
フジテレビ 木曜22時
「純愛ディソナンス」第4話
主演…中島裕翔
脚本…玉田真也
演出…木村真人
このドラマ、いろんな人の思惑が入り乱れていて、とかく主人公の正樹(中島裕翔)とヒロインの冴の存在が埋もれがちです。
まず、以前は正樹の同僚教師だった愛菜美(比嘉愛未)。
教師の時は暗く陰鬱な印象で何を考えているのか分からない得体の知れないキャラでしたが、
教師をやめ、他の職場でもうまくいかない正樹に近づき、やがて恋人になり、父親の賢治(光石研)の会社で働かせてあげ、結婚もし、自らは小説家にもなり、以前とは見違えるような華やかな容姿になっています。
おそらく高校で正樹と冴の写真を盗撮し拡散したのも愛菜美だったんでしょうね。正樹を自分のものにするために虎視眈々と罠を仕掛けていた気がします。
そんな愛菜美の前に、また冴が現れ、自分のように小説家になりたいと知り、愛菜美は冴をおもちゃにしてもてあそぼうとしています。
一方、冴が勤める会社の代表である路加(佐藤隆太)は、賢治に恨みがあり、いつか見返したいと思っているようで、
仕事で親しくなった愛菜美が賢治の娘と知り、賢治にダメージを与えるべく、策を弄していくようです。
そして、悪徳不動産の権化のような賢治ですが、息子の北都(和田正人)も、娘ムコの正樹も信じてはいません。
手段を選ばぬ悪辣さ、それを「六本木クラス」の香川照之とはまた違う、抑制のきいた歪みを薄気味悪く演じています。
ちょっとジャック・ニコルソンを思わせる凄みでしたね。
自然体の邪悪さって怖いですよね。
こんな賢治に忠実であろうとする正樹は、どんどん内面がどす黒くなっていくんでしょうね。
冴との再会が、それにブレーキをかけそうです。
その先には悲劇が?
ハッピーエンドは望めなさそうなドラマです。
今回の評価は…8