今回は聴力を失っていく想(目黒蓮)を家族はどう見守ったか、どんなギクシャクが生じたかが丁寧に描かれました。
このドラマはいろんな人物を通して1つのことが多面的に描かれるのが独特ですね。
そうすることで、一方向では見えなかったことが見えてくるのです。
実によくできた脚本だと思います。
フジテレビ 木曜22時
「silent」第9話
主演…川口春奈
脚本…生方美久
演出…風間太樹
第2話でグッと来た聴力を失い始めた想と紬(川口春奈)との別れのシーン。
あのあと、想は家に帰るなり、東京へ戻る支度を始め、母親の律子(篠原涼子)に友人たちには失聴のことはしゃべるなときつく頼みます。
言ったところで治るわけではなく、心配をかけるだけだからという考えだったようですね。
家族は補聴器をつけとけば何とかなるくらいに軽く考えていたふしがありますね。
補聴器をつけても聴こえなくなり、自分の話し声も聴こえなくなった時の想のショックとそれを受け止める家族のシーンは胸がしめつけられました。
何も言わずにそばにいてあげる父親の隆司(利重剛)の優しさは感動的でした。
地元の友人とも関係を絶ち、大学もやめてしまった想に律子は過剰に心配します。
そんな律子を長女の華(石川恋)は自分や萌(桜田ひより)も母さんの子どもだとなじります。
想も地元の友人たちに話さないのと同じように、律子に心配をかけないようにと地元に帰らないし、連絡も取らないようになり律子を遠ざけました。
律子はこれまでどこかギスギスしていたのは、想との関係性がうまく行ってなかったからなんですね。
紬や湊斗(鈴鹿央士)と再会し自分の考えが間違っていたことを知った想は、律子にもこれからはいろいろ話すと伝えます。律子の笑顔が何とも言えませんでしたね。
これまで篠原涼子ならではの笑顔を封印していただけに効果がありました。
聴力を失い、もう聴けないからとケースが壊れるほど棚から放り出したCD。
律子がもう捨てようと想の留守中に言っていたのに萌が避難させ、守ったCD。
華や萌と棚に戻し並べるシーンは心温まる良いシーンでした。
今回の評価は…8